「エコプラス」カテゴリーアーカイブ

Day +3 ) Reflection by Volunteers ボランティアスタッフの振り返り会

TAKANO Takako, executive director of ECOPLUS, hosted the reflection session.
A reflection session by volunteers for “Welcome Yap” Project in past two weeks was held in Waseda University in Tokyo in the evening of Friday, 23 March. Among eleven volunteers, eight persons and a videographer who had been with us almost the period joined the meeting.

 ヤップ島の青少年招へい事業にかかわったボランティアスタッフらの反省会が、2018年3月23日夕、東京都新宿区の早稲田大学で開かれました。受け入れの中核となった11人のボランティアスタッフのうちの8人と、期間中のほとんどに同行してもらったビデオエンジニアの女性が集まりました。

They donated their time and money for the project heavily since the first meeting in last November accumulating meetings and site visits to identify the most ideal places for the Yapese students. All of activities of each day was organized by responsible team members of the day. One of volunteers was an IT engineer who took days off for this project and joined almost entire period.

 ボランティアの学生や社会人は、ほとんどがヤップ島での暮らしを体験するエコプラスのプログラムの参加者たち。
 昨年11月以来、それぞれの時間を使い、経費の一部も負担して、打合せや現場の下見を何度も重ねてきました。毎日の活動は、ヤップの若者たちの環境への理解を深めてもらえるように、それぞれの日の担当チームが組み立てを考えてきました。

Volunteers exchanged opinions with smiles.
During the meeting, they exchange comments and fanny stories during the time, watching photos of Yapese students during the project. Many commented they will come back to Yap to see students they spent time together this time.

 ふり返りの会では、ボランティアたちは、ヤップの若者たちの写真を見ながら、気付いたことをコメントしたり、予想外だった出来事を思い出して大笑いしたりしていました。何人もが、あの若者たちに再会するために、またヤップ島を訪ねてみたいと離していました。

The project was supported by so many students, families, ex-participants of ECOPLUS’s program in Yap, and organizations, like Keidanren Nature Reserve Fund, United Airlines, Patagonia, Minamiuonuma City Board of Education.

 このプロジェクトでは、多くの学生、ご家庭、過去のヤップ島プログラム参加者などの個人、さらに日本経団連自然保護基金、ユナイテッド航空、パタゴニア、南魚沼市教育委員会など多くの組織からのご支援をいただきました。ありがとうございました。

Day 9) Reporting Session with a lot of smiles 笑顔に包まれた最後の報告会

Reflection discussion in Tokyo
Today, we went back from Niigata to Tokyo by bus. It was impressive that the students from Yap tried to see out of the window not to forget the scenery of Niigata. In the bus, they reflected what they had done in these nine days with the pictures.

 今日は新潟から東京へバスで戻りました。新潟での風景を目に焼き付けようと窓の外を眺める彼らの様子が印象的でした。バスの中ではここまでの9日間の写真を見て振り返りをしました。

 東京に着いてからは、日本で学んだことを振り返りながら個々人が思い描くヤップの将来の姿や、これから自分には何ができるのかを考える時間を持ちました。

Reporting Session with a lot of persons.
After arrived at Tokyo, they deepened their learnings during this program and discussed what kind of future did they want in Yap. Then, they considered what they could do by themselves to make it happen.

During a farewell party in the evening, the students from Yap gave a presentation about their desired future of Yap and their learnings. Many people came and joined the farewell party including our supporters, host families and the people who had been to Yap. Thanks to them, it was a worm and wonderful party.

 伝統を残しつつも現代的な生活を取り入れたい。私たちがヤップの未来そのものを作る存在なのだ。と彼らから力強い言葉が聞けました。夕方から行われた報告会では協賛者の方やホストファミリー、ヤップ島プログラムの過去の参加者など多くの方にお越し頂き彼らが学んだことを共有することができました。笑いの溢れる温かな会となりました。

Reported by NAOI Saki and ITO Sakurako

12月9日に、国際シンポジウム「地域に根差した教育の可能性」を開催します

インドを拠点に農民支援など多彩な活動をするチャタジーさん

 エコプラスは、12月9日に東京都新宿区の早稲田大学で、国際シンポジウム「地域に根差した教育の可能性」を開きます。グローバル化が進む一方で、「地域」への注目も高まっています。私たちの足元を見つめ直すことから、持続可能な社会づくりを考える幅広い議論を期待しています。また前日の8日には、シンポジウムに参加するインドの市民活動家オルデンドゥー・チャタジーさんによるレクチャーも予定しています。チャタジーさんは日本語が堪能で、両日とも日本語での進行します。どなたでも参加いただけます。参加申し込みは、このページの下にあるフォームからどうぞ。

国際シンポジウム 地域に根差した教育の可能性
・・・足元から始まる持続可能な社会づくり

趣旨
 学校での郷土学習から、環境教育、いま注目されている「森のようちえん」、国が推進する「地域再生」まで、地域に着目した活動が、各地でさまざまに展開されています。グローバル経済の巨大な波が世界を支配する現代社会で、この「地域」を出発点にした学びこそが、持続可能な未来への出発点ではないのか。第一線の実践家や研究者が集まって、6年間に渡って議論を重ねてきた集大成として、場の教育の可能性を議論します。

    日時:2017年12月9日(土)午前10時から午後4時まで
    場所:早稲田大学本部キャンパス11号館505教室(東京都新宿区)
    海外ゲスト:オルデンドゥー・チャタジーさん(インド・市民活動家)
    国内ゲスト:伊谷玄さん(沖縄西表島・くまのみ自然学校)
    対象:グローバル化と地域、教育全般、地域づくりや農山村交流、民族や文化、持続可能な社会づくりなどに関心を持つ学生、市民、実践者、研究者
    参加:無料
    企画委員:阿部治・立教大学教授、安藤聡彦・埼玉大学教授、板垣順平・神戸大学学術研究員、佐々木豊志・くりこま高原自然学校代表、佐久間憲生・出羽三山の自然を守る会代表、豊田光世・新潟大学准教授、高野孝子・早稲田大学教授、横山隆一・日本自然保護協会参事

    進行予定:

      10:00 開会
      10:10 「地域に根差した教育」研究6年間のレビュー(高野委員)
      10:30 「地域に根差した教育」インドからの事例報告(チャタジーさん)
      11:05 西表・干立集落での場の教育(伊谷さん)
      11:40 干立集落を訪ねた農大一高生物部の事例紹介
      12:15 昼食+ポスターセッション
      13:30 パネル討議(進行、安藤委員)
      15:30 まとめ
      17:00すぎから 懇親会(早稲田大学近くの食堂で)

オルデンドゥー・チャタジーさん講演会

    日時:2017年12月8日(金) 16:30-18:20
    場所:早稲田大学戸山キャンパス 36号館-682教室
    https://www.waseda.jp/top/assets/uploads/2016/10/20161020toyama_campus_map.pdf
    演題:農と食とサステナビリティ
       〜現代農業に潜む、生命基盤と社会に対する脅威

内容:インドの貧農、小農民らの自立支援に携わりながら、農を取り巻く技術や政策の研究を重ねて来たチャタジー氏の来日に合わせ、私たちの暮らしと社会のサステナビリティについて、特に農の視点から、その知見を披露していただき、ディスカッションにつなげていく。

国際シンポジウムとチャタジーさん講演会への申込書

「自然の中で人はもっと元気になる」ーーミッテン教授がやさしく語りました

森の中で話をするミッテンさん
 エコプラスは、2017年6月22日から24日まで、新潟県南魚沼市や早稲田大学、東京都八王子市を舞台に、米国プレスコット大学大学院教授のデニース・ミッテンさんによる、「自然の治癒力」をテーマとしたセミナーやワークショップを連続展開しました。

 ミッテンさんは、森林生態学を出発点に、野外セラピーや女性のための野外活動、野外教育や心理カウンセリングと幅広く活動を展開。理論と実務の双方に詳しい専門家です。今回は、日本野外教育学会での記念講演などで来日され、それを機会に、エコプラスの高野孝子代表理事が、連続してのイベントを企画しました。

南魚沼市でのセミナー
 22日の南魚沼市では、新潟市や長岡市などからも野外活動家や教育関係者など20人近くが集まり、23日の早稲田大学でも、学生のみならず障害者教育などにあたる実践者ら30人が集まって、それぞれセミナー形式で、ミッテンさんの発表を聞きました。

 セミナーの中でミッテンさんは、人間がこの数万年の進化のほとんどの時期を、自然の中で暮らしてきたことに触れ、「私たちの中に埋もれている先住民族としての意識(Intra Indiginous consiousness)」があると指摘。一方で、現代社会が急速に自然と人との関係を切り離して、その中で、もう一度自然との関係を築くことで、個人も家庭も社会もより健全になることが出来ると強調しました。

早稲田大学で話すミッテンさん
 ミッテンさんは、この自然がもつ治癒力がこれまで軽視されてきたことを1994年に学術的に指摘。他のさまざまな研究例を引きながら、野外で過ごす時間を少しでも持つことで、人がいかに健全になるかを分かりやすく説明してくれました。

 セミナーでは、全員が目を閉じて、お気に入りの自然の様子を思い浮かべるNature Visualizationという活動などもして、参加者自身が、心拍数が下がり、気持ちが落ち着くことを体感しました。

 24日は、JR中央線の高尾駅前にある森林総合研究所の多摩森林科学園を舞台に、午前午後を通したワークショップをしてもらいました。ミッテンさんは、野外やカウンセリングなどの専門家ら13人を、同科学園のみどり豊かな森の中にゆっくりと導き入れて、自然をよく見る活動(Nature Scan)、自然の中から友達を探す(Find Friends)、拾ってきた枯れ葉や木の実でアートを作る(Nature Art)などの活動を、一つひとつ丁寧に実施して、その意味を体験的に考える時間を作り上げてくれました。

森の中でゆったりと話し合う参加者のみなさん
 江戸時代からの古い歴史を持つ深い森の中で、鳥のさえずりや吹き渡る風、自らの体の鼓動などを感じながら、じっくりと自然を感じることで、ストレスで圧迫されていた心と体がよみがえることを、強く感じさせてもらいました。

 一連のセミナーやワークショップに参加したみなさんからは、「教育、医学、心理学など多様な分野をつなぐ貴重な話を聞かせてもらった」「野外活動が単なる運動ではなくて、幸福感を育むものだと分った」「これまで実践してきたことが正しいと理論的に確信できた」などという前向きなコメントが数多く寄せられました。

 今回の連続イベントでは、南魚沼市教育委員会、森林総合研究所に大変お世話になりました。明治大学講師の針ケ谷雅子さんにも東京での開催でお力をいただきました。ありがとうございました。

場とは何か、教育とは何か

論点整理で発言する安藤さん
 国際シンポジウム「グローバリゼーションと地域」の2日目(1月22日)、それまでの議論をまとめていただいた安藤聡彦さん(埼玉大学教授)のお話です。「どう生きるか」ということから場を考える問いを投げ掛けてもらいました。

 私たちが求めている社会とはどういったものなのか、私たちはどういった社会で生きたいと思っているのか、かけがえのない一回の人生を生きるにはどのような社会がふさわしいか、さらにその中で行われる教育はどのようなものであるべきなのか、ということです。

 政治学者のヘイワードさん、建築家のベンクスさん、写真家の桃井さん、どなたも教育そのものを語るというよりも、教育の背景にある社会を通して教育の新たな方向性について私たちに問題提起をしてくださったと考えています。言ってみれば、環境と社会と教育とをつなぎ直す、再構築する、そのための原理や哲学を話してくださりました。

 現代社会がそれぞれの場所に深く映し出されているということが浮かび上がってきたのではないかと思います。グローバリゼーションという現代社会の趨勢は地域、あるいは特定の場所の中に具体的な形をとって現れるということも再認識いたしました。

 古代ギリシャ哲学者ヘラクレイトスは、「万物は流転する」と言いました。グローバリゼーションというのは、「万物の流転」が世界規模で絶え間なく生じるということでしょうか。それぞれの場所の中で流動性と不動性、どんどん変化するものと変わらないもの、動いていくものと安定しているもの、それら両者がせめぎあい、あるいはお互いの中に入り込んで、相互浸透があるという事実でした。
 流動するものと不動のもの、あるいは変化するものと変化すべきでないもの、それらをどのように織り上げていくのか、その織り上げ方についての思想や実践、あるいはそれらにかかわる教育、学習だったのではないかと思います。
 ヘイワードさんからは、政治、民主主義、参加、アイデンティティなど、ベンクスさんからは、文化、技術、交流、そして桃井さんからは、宗教、歴史、暮らし、などというキーワードが示されました。
 流動性と不動性のつなぎ方、変化するものと変化しないものをどのように結び合わせていくのかが課題だと考えます。

 人が生きるに値する場所とはどういうものなのか。そして、そのような場所を作りだし、そこに住む人間を形成するための教育に必要なことは何なのか。

 1885年にイギリスのウイリアム・モリスが行った「「如何に生きているか」と「如何に生きるべきか」」(‘”How we live” and “How we might live”’)という有名な講演があります。
 世界の工場と言われたイギリスは、1870年代以降、大不況に陥り、膨大な失業者が出て、「貧困の再発見」ということが言われていました。そういう中で工芸家でありデザイナーであり建築家であったモリスは、自分たちはどのように生きているのかと提起しました。モリスは「私達は戦争の中で生きている」と言っています。その戦争というのは、世界的な大競争の中にある国家間の競争、会社同士の競争、そして人間同士の競争のことなのだ、と言います。ともすると、人間はその「戦争」の中に巻き込まれて、人に対して復讐の心を持ったり、絶望したり、不安におののいたりする。それに対して労働者達はいったいどのように生きればよいのか。モリスは、そこでそれは「まともな生活」(decent life)なのだ、というのですね。その結論は以下の通りです。

 「まともな生活に対する私のいろいろな要求を要約すると、こうである。第一に健康な身体、第二には過去、現在、未来に応じた活動的知力、第三は健康な身体と活動的知力にふさわしい仕事。そして第四には生活するための美しい世界」

 1番目と2番目は人間の側の条件、3番目は労働という社会的条件、そして最後の4番目は社会的条件と環境的条件とがあわさったもの。なかでも、最後の「生活するための美しい世界」とはどんな世界なんでしょうか。
 私は世界につながるためのささやかな取り組みとして、スマホにアラブ系メディア・アルジャジーラのアプリを入れています。一日とか2日に1回それを立ち上げると、ほとんどんの情報にdeathとかkillとかが含まれています。地中海で密航船が難破したとか、アレッポが攻撃されたとか。おそらく現在のアレッポのような場所のあり方というのは、モリスが考えた「生活するための美しい社会」ではないはずです。

 モリスは、その4つのことを実現するために何が必要なのかと考えたときに、それらについて考えるための教育が必要である、ということを言います。そうか、やっぱり教育って大事なんだと思います。

民主主義を日々積み重ねよう!“Practice Democracy Everyday”

 1月21日の国際シンポジウムでの、ブロンウィン・ヘイワードさんの発言要旨です。やっと整理が出来たので掲載します。

シチズンシップ(市民の役割)
 日本やニュージーランドでは高齢化が大変深刻な問題になっています。しかし、世界人口の半分は25歳以下で、都市で育っています。どうやってこの若者たちに、市民としての役割を考えるように手助けできるか。それが私の関心事です。

若者が直面する4つの課題
①危機的な環境の変化
 2011年にニュージーランドのクライストチャーチで大きな地震が起きました。福島がそれに続き、大きな被害を出しました。自然のもつ急激な変動と、ゆっくりした変動の双方が、これからの世代を襲うことでしょう。実際にその悲劇に直面するのは、孫や子どもということになるでしょう。

②地域の弱体化
 企業が、有利な税制や雇用を求めて地球規模で簡単に移動する時代。その企業をどう引き止めようかと自治体や国々が苦悩しています。企業と地域社会の関係をどう築くか。グローバルな経済と地域の民主主義との関係の維持は、より難しくなろうとしています。

③社会的格差の拡大
 多くの国々での課題となっています。過去30年、ニュージーランドでの貧富の格差は,スウェーデンに次いで世界ではもっとも大きく広がってしまいました。
 人々は、不平等ということについて敏感になっています。

④不安定な雇用
 若者の仕事がない、あるいは不安定な雇用状況が広がっています。ユニセフと世界銀行による調査では、例えばチュニジアという国でいま13歳の若者が、今後10年の間に職に就けるかどうかは、この先10年の間、毎年650万の新しい職が生み出され続けなければならないということでした。私たちの社会、経済、そして環境は、どうやってそれを実現できるでしょうか。

 私たちは考え方を変え、世界的な視野から考えないといけなくなっているのです。同時に、私たちの世代が作り出した世界的な課題に対して若い世代が取り組むのを、どう支えることが出来るのか。高度につながりあい、都市化されデジタル化された世界の中で、市民になるということはどういうことなのか、その若い市民たちがつながりあうことをどう支援するかを考えねばなりません。

ヘイワードさんのSEEDSモデルのスライド

SEEDSモデル
 私は、シチズンシップや、ある場所に存在し,所属し、関わるということを考える「SEEDSモデル」を提案しています。

Social Agency(協働意識)
 個人として権威から離れ、自ら思い描くことが出来る。行動することが出来る。それが西洋における啓蒙思想にもつながっていく、個人が考え,行動するという世界です。問題点の一つは、最後には「私がこの国を再び偉大にする」というような権威主義的なリーダーに行き着いてしまうということです。
 私が推し進めたいのは、個人としてのAgency(行動意識)ではなく、社会的な行動意識です。いかに他の人々との連帯の中で、コミュニティの中で尊敬しあいながら、つながりあって行動できるか。ということです。難しいことです。みんな違っているからです。
 この例の一つです。私が住むクライストチャーチでは、2011年2月の大地震の後、学生たちはフェイスブックで仲間を募って町の片づけ作業を始めたのです。6月に二度目の大きな地震が起こった時には2万4千人が組織されていました。大きな変化のためにともに汗を流し,行動したのです。

Environmental Education(環境教育)
 単に気候変動や、水の循環や土壌の科学などについて知るだけでは十分ではないのです。その土地の物語を聞き,その場の歴史を知り、そこで友達と仲良くなり,その場をもっと理解し、そこで遊ぶことに自信を持ち、その場が好きになり,その一部になっていると感じることが必要なのです。
 ニュージーランドの先住民マオリには、スランガワエワエ(turangawaewae)という素敵な言葉があります。私が立つ場所という意味です。この土地を、そこにいる人々を、その歴史を、その自然環境を理解しており、自信を持っているということなのです。

Embedded Justice(場の正義)
 経済学者のアマルティア・センがいうところの正義です。人々の声に耳を傾け、その状況をしっかりと理解し、解決のための正しい道筋を考え、決断することを支援するということです。
 私たちはこれまでの歴史を背負い、過去のいくつもの戦争を経て、多くの犠牲があり、自分たちが考える正義があり、思い込みもあり、恐怖や愛、希望を持っています。その中で、どう正しい判断をしていくのかということを、子どもだけでなく大人に学んでもらうことが必要です。
 困難な時代には、社会を操作することはたやすいことです。だれか特別な人たちに、不正義や不公平さを押し付ければいいのです。壁を作れとか、あの島を孤立させてしまえとかいうのです。彼らが悪い、と。
 環境問題でも、問題を生み出した長い歴史を省みることなく公正な決断をするということはできないのが、実際なのです。この産業化の恩恵を受けてこなかった人々のことを考えないでいいのでしょうか。資源の配分、温暖化ガスの排出枠。

Decentered Democracy(あちこちにある民主主義)
 哲学者のアイリス・ヤングが語った民主主義の非中央化ということを考えなければならないと思います。ニューヨークでウォールストリートを占拠する抗議活動が世界に広がったのがその例です。自分の住む街で、あなたの街で、だれかの街で、どのように会話をするのか。個別の課題ではあっても、それはつながりあっているということです。たとえば今日、世界165カ国で女性たちが権威主義のトランプ大統領に対する講義活動をしています。それぞれの場所で、共有する課題について議論する。それが非中央化された民主主義です。

 3年か4年か5年かに1回だけ投票する民主主義とは違って、日々判断を積み重ねるということなのです。世界各地の思慮深い、排他的でない会話をつなげる民主主義なのです。自分の声が届いていると感じてもらえるように進める。どのように他人の意見を聞くかということにもっと力を注ぐ必要があると思います。
 思いやりをもって地域の会話を聞き、それをつなぐということをどう教え、考えるかは、とても大事なことになってきていると思います。

Self-transcendence(自己超越)
 西洋では個人主義が強調されます。しかし私は、子どもたちはこういう課題を前にして決してひとりでいるのではない、かれらはもっと大きな社会の一部である、そう理解してもらうために、どうすればいいかと考えています。自己超越という概念です。今の自分を超えるより大きなものとの一体感のことです。宗教やあるいは神秘的な体験、自然との一体感、地域や家族、種族との連帯感、長い歴史の一部であると感じることを通して実現されるものです。若者たちが、自分自身の枠をはるかに超えて、何かより大きなものに支えられている、時間と空間と歴史の一部になっている、いまは無くなってしまった昔からの何者かの一部であり、これから登場してくる未来世代の一部であると感じることなのです。

エコロジカルシチズンシップ
 市民の役割、シチズンシップというものをもっと幅広く、毎日の暮らしを考えるものとして再定義する必要があると思います。エコロジカルシチズンシップ(生態系に配慮した市民の役割)と呼びたいと思います。私たちを取り巻くさまざまな要素、そして生態系に気を配るということです。
 これは、トランプ大統領の登場や英国のEU離脱という流れに対する即効薬ではありません。しかし長い時間をかけた、小さなことの積み重ねが大事なのだと思います。毎日の暮らしの中で民主主義の修練をどう積み重ねていくか、なのです。

ヤップ島でのボランティア活動が半年に・・早稲田大学の千場朗さん

ヤップに海で、愛犬マックスと。
 2月24日で、ヤップでの滞在が半年になった。
 頻繁に上を向いて歩くようになった。
 ホームシックで涙がこぼれそうだから、ではない。
 今日の雲の量、天気はどうか、月齢はどうか、庭のバナナの成長具合はどうか、地元の人がかじるビンロウの実は収穫できるか、古いココナツが落ちてこないか、自然と上を向く。日本で下を向いて小さな画面と向き合い、SNSで友達と連絡を取り合う、そんな生活から離れて久しい。

 私が、欧米等の大学での留学を選ばずに、1年間休学して、過去3度訪問したヤップを選んだ理由は、第一にお世話になった感謝の気持ちを行動で示すためであった。ECOPLUSがTamil地区の有志が作る環境保全団体(TRCT)と1年半のプロジェクトを行うと話を伺い、現地から参加しようと決心した。

 滞在期間中はこのプロジェクトを柱に、小学校の1~8年生の全学年で体育授業のお手伝い、今夏のヤップ・パラオ国際親善大会の為の野球コーチ、禁漁区内でのシャコガイの養殖・清掃活動、コミュニティワークなど様々な活動に挑戦している。これらの「ありがとう活動」は、地元の人たちと共に汗を流し、共に笑い合い、同じ目線で横に座る事が肝要であると学んだ。

 滞在予定は、残り4か月。今後もこの貴重な期間を大切にし、「日本に帰りたくない!」こんな事を心の底から思えるように、引き続き多くの事に挑戦し、ヤップの皆さんのために少しでも役に立てるように頑張りたい。

 千場朗(せんば・あきら)、21歳、早稲田大学教育学部3年の前期で休学。ヤップ島でのエコプラスが実施する環境保全活動にボランティアとして参加中。

古民家再生のドイツ人建築家ベンクスさんに「ふるさとづくり大賞」

 1月の国際シンポジウムで基調講演をしていただいたドイツ人建築家のカール・ベンクスさんが、総務省が行う「ふるさとづくり大賞」の総理大臣賞に決まり、2月4日に表彰式が行われました。

ベンクスさんからいただいた受賞のお知らせ

 カールさんはクリスティーナ夫人とともに、新潟県十日町市の山里に暮らしながら、日本の古民家の再生に情熱を注いできました。1月の国際シンポジウムでも、「よみがえる古民家」という発表をしていただいたばかりです。

 総理大臣賞ということで、3月にも安倍総理大臣から直接賞状が手渡されるとのこと。地道に、ひたむきに、日本の伝統である木造建築に向き合っていただいたことは、逆にこの血に住むものとして恥ずかしい気持ちもします。

 すでに50軒の古民家を再生し、さらに現在5つのプロジェクトが進行中。「100歳まで長生きして100件を再生します」というコメントがいただいたお手紙に書いてありました。

高野代表理事がJOLA特別賞を受賞

 エコプラスの高野孝子代表理事が、2017年2月9日、ジャパンアウトドアリーダーアワード(JOLA)の特別賞を受けました。JOLAは、自然体験をもとにした人づくりに取り組む実践者を讃えるために、今回新たに始まった制度。大賞には、広島県での自然体験博物館で活動している白川勝信さんが選ばれ、4人の特別賞受賞者の一人に高野代表理事が選ばれました。

表彰状と高野代表理事
 高野代表理事は、1992年に本格的な野外・環境教育プログラムを開始。凍結した北極海の横断をしながら草創期のインターネットを使った環境授業を展開したり、英国ケンブリッジ大学やエジンバラ大学での研究生活で博士号を取得したりと、理論と実践を兼ね備え、世界と日本の両方で活動してきた実績が評価されました。

 これも多くの方のご支援があればこそ。これまでのご指導、ご助言、ご支援に心から感謝します。

豪雪の山里で大学生が「サービスラーニング」

すっぽり埋もれた1階の窓ぎわを掘り出す。

 新潟県南魚沼市栃窪集落で、2017年2月5日から8日まで、立教大学のサービスラーニング「RSL-南魚沼」が開かれました。サービスラーニングは、現場で奉仕活動をしながら実社会を学ぶ手法で、日本国内でもいくつかの先進的な大学で取り組まれており、立教大学は過去2年の試行を経て、今年度から正規科目として位置付けられました。

 参加したのは、1年生から3年生までの18人。政治、経済から心理、文学、社会など多様な学部学科からの参加でした。

地元のお宅で集落の農業について話を伺う。

 栃窪集落は、戸数54、人口約160人。半数の家庭が高齢者が1人か2人で暮らしている過疎の集落です。学生たちは、集落の長老から集落の状況についての講義を受けました。
「生活の営みとして何百年と続いてきた稲作は、産業としての農業になることを求められてきた」
「農地を集約して出来る大規模農家以外は、農家はいらないとされて、その結果として、過疎高齢化がさらに進むしかない」
「10年後に何軒の家がここに残っているか。集落の存続が危ぶまれる」
そんな生々しい現状に、学生たちは息を飲んでいました。

 期間中の奉仕活動は、高齢者宅などの除雪作業。まったく経験のない学生がほとんどだったので、スコップやスノーダンプといった除雪道具の使い方を地元の方に教えてもらい、作業にかかりました。屋根から落ちてきた雪で1階部分の窓が完全に埋まった家が多く、窓際部分を除雪して、室内に光が入るようにがんばりました。

伝統の輪かんじきをはいて背の丈以上もある雪の上を歩く。

 2日目には、全校児童が10人になった地元の栃窪小学校を訪問。子どもたちが行っていた豆まきの行事に加えてもらって、一緒にゲームなどもしました。3日目には、家庭訪問。4つのグループに分かれて、別々のお宅を訪ね、雪国の暮らしや昔と今の変化、これからの村の姿などについて話を聞かせてもらいました。

 最終日の発表では、「都会ではまったく気付かなかった、水や米と自分とのつながりに気付けた。日々の暮らしが遠くの場所にもつながっているんだと感じた」「自分だけのために生きるのではなく、地域や社会で自分の役割がある、自分のためだけではない生き方に気付いた」「都会のものにあふれる豊かさとは違う、別の豊かさがあることが分った」「参加したほかの学生とここまで一生懸命に議論できた」などという感想が聞かれました。