「野外教育」カテゴリーアーカイブ

新シリーズ ヤップでまかれた種たち

第1回:當銘朋恵さん

石垣島からヤップ、そして石垣島へ 島の暮らしから紡ぐ、自然と人と優しい社会

 地球体験チャレンジ「ヤップ島プログラム」がスタートして、約30年。これまでに、オブザーバーなども入れて400人以上の参加者がヤップの大地を踏みました。30年が経過した今、ヤップという共通の体験を持つ仲間たちは、その後の四半世紀をどう生き、そして今何と向き合っているのでしょうか。

 プログラムの30周年を迎えるにあたり、今回シリーズ連載「ヤップでまかれた種たち」をスタートしていきます。ここでは、参加者のその後のストーリーに迫りながら、あらためてヤップが持つ意味や価値を振り返るとともに、今後の私たちがどう生き、持続可能な社会づくりにどう貢献していくのかを考える機会を生み出していきたいと思います。

 第1回目のストーリーテラーは、1993年参加者の當銘朋恵さん(旧姓:宮良朋恵さん)。沖縄県石垣島で生を受け、島で育ち、今も石垣島で5児の母として暮らす朋恵さんに、ヤップでの経験はどんな影響を与えてきたのでしょうか。當銘さんが語る、自然と人がつながる生き方について、お話を聞かせていただきました。

1993年ヤップ島プログラム参加者の集合写真。中段右から3人目が朋恵さん。写真:陶山佳久

自然、伝統、文化が織りなされる日々を
過ごしながら

機を織っているときって、無心になれるんです。瞑想のように。自分の手元からものが生み出される喜びがあるんですよね。自分で糸を紡いで、仕立てて、染めて。この辺ではまだ豊年祭の着物などは家族がみんな仕立てるんですよ。麻を育てるところから始めて・・・

オンラインでインタビューに答えてくれた當銘朋恵さん
オンラインでインタビューに答えてくれた當銘朋恵さん

 1993年、ヤップ島プログラムに参加した當銘朋恵さん。石垣島で生を受けた朋恵さんは、現在地元の石垣島で5人の息子さんの子育てに励み、ご家族のパイナップル農園を手伝う傍ら、機織り、学童の支援、ネイチャーゲーム、星空のガイドなど多彩な生活を楽しんでいます。

 朋恵さんの言葉からは、琉球の頃からの文化や伝統、そして取り巻く自然の息吹が生活の中に染み入っている様が感じられます。「今は御嶽(ウタキ)に入る時に着る打ち掛けを織っています。神様のところに行くので着物をさっと羽織る。そういう村の伝統行事に参加していると、島の神様って優しいなって感じるんですよね。村の人たちや自然を見守ってくれていて。この島の大地から神様が生まれてきたんだなって、わかるんですよ」

 子供の頃からとにかく自然が好きだったと語る朋恵さん。「生き物を見ても、葉っぱを見ても、何を見ても楽しい。そこら中に宝物が落ちていて、世界中がキラキラ輝いているみたいな。何で身体が1つしかないんだろうって思っていました。」

 石垣の豊かな自然に触れ、愛しながら育った朋恵さんですが、その一方で葛藤も抱えていました。「でも、自然が好きすぎると、人間が嫌いになるんですよね(笑)。自然破壊とか環境問題とかが許せなくて。ここだと新空港や赤土の問題があって。雨が降ると山が削られて本当に海が真っ赤に染まって、血が流れているようで痛々しかった」

 世の中的にも環境問題への認識が高まる中で多感な時期を過ごし、高校、大学時代は暗くてつらかったといいます。人のためになる仕事、先生と医者と農業だけはやるまいと心に誓い、琉球大学で生物学を専攻しました。ヤップ島プログラムについて知ったのは、そんな学生時代でした。

石垣島からヤップへ

たまたま新聞を見た時に、プログラムの募集記事が載っていたんです。本当に小さな記事で。しかも締め切りが翌日。もともとアフリカに行くつもりで、アルバイトでお金を貯めていたんです。あれ、でもミクロネシアか・・・と

 明確な目的意識があったわけではなく、直感ですぐに電話をかけた朋恵さん。ヤップ島プログラムに参加する方の多くは、そんな偶発性で結ばれているのではないでしょうか。

 「ヤップは沖縄と似ているんですよね。植物の種類も近くて。でも石垣からグアム、ヤップと行くにつれて、同じ植物が巨大化していく。グンバイヒルガオとか知っています? 海辺にはえているのが、ヤップに行くとこんな大きな葉っぱになるんですよね」ヤップに初めて降り立った印象をそう語ります。

 「最初にしたのが、ココヤシのジュースを飲むことと、葉っぱでマットを編むこと。そのマットを珊瑚を敷き詰めた床に敷いて、蚊帳をつって、みんなでギュウギュウになって寝ました。それから川の上にトイレを自分たちでつくるんです。天然の水洗トイレですね。料理もみんなで取り組みました。薪を集めて、料理当番も決めて。だんだん用意していた食材がなくなってきて、最後の方はご飯にジャムをつけて食べたりして、非常にまずかったのを覚えています(笑)。それを見たヤップの人たちが、可愛そうと料理をつくって届けてくれて。向こうは青いバナナを食べるんです。ココヤシだったり、カニのおつゆだったり、シャコガイにレモンを絞ったり。美味しかったですね」

 みんなで自分たちの暮らしをつくっていく生活がとにかく楽しかったと言う朋恵さん。約30年前の様子が映像に浮かぶようにありありと語ってくれました。

ヤップの畑から学ぶ
「必要なものを取り出せる」生き方

 そして、10日間くらいの滞在の中で、その後の朋恵さんの人生観にも影響を与えるような大きな体験もありました。

 「2泊3日で、ロサさんという方のご自宅にホームステイをさせてもらったのを強く覚えています。ある時畑に連れて行ってもらったんです。ジャングルの中をひたすら歩く。そして、いきなり止まったんです。『ここが畑だよ』と。えー、ジャングルばかりで畑も何もないじゃん、と思ったのですが、よく見ると上から瓜のようなスネークビーンズがなっていたり、足元にかぼちゃやスイカがあったり・・・。衝撃的でしたね。なるほど、こういうつくり方があるんだ、森を伐採して、牧草地や畑にしなくても、自分たちが必要なものを自然の中から取り出せる。すごく豊かだなと。行く途中に自分で編んだ籠に野菜を山盛りにかついで帰ってきました」

 自然を切り拓くのではなく、自然と共に生きる暮らし。「自分たちはココヤシと魚があれば生きていける」という現地の方の言葉にも触れ、「こういう生き方ができるんだ。こういう人たちのためなら何かしたいな、何かできるんじゃないかな」と、これまで人間嫌いだった朋恵さんの心情にも変化が生まれました。「このときの体験が一番自分の中で効きました。ヤップに行っていなかったら、すごく嫌な人間になっていたかもしれない。日本に帰ってきたら、不思議と何もかもがありがたく感じられるようになって。ヤップって、その時よりも、後からじわじわ来るんですよね・・・」

 ヤップで環境に負荷を与えない生き方に感銘を受けた朋恵さんは、帰国後、人と自然の持続可能な農業に可能性を見出し、アメリカ、オーストラリアでパーマ・カルチャーを学び、インストラクターの資格を取得します。農業だけはやるまいと誓っていた朋恵さんの信条が、ヤップでの豊かな経験を経て、人と自然をつなぐ接点として農業を捉え直していく様に、場の学びがもつ力強さ、気づきや価値の大きさが感じられます。

みんな違って、みんないい

 その後、石垣に戻った朋恵さんは、結婚し、5人の男の子を授かりました。「自分なりに自然な子育てをしたかったんですよ。だから上の子は病院で産んだけど、下の4人は家で旦那に取り上げてもらって。ヤップの子供たちって3歳位から山刀ぶらさげて歩いているじゃないですか。あれを見ていたので、子供たちには1歳になる前から包丁を握らせたり、鋸やドライバーも自由に使わせて。裸で走り回って。周りの人たちからは色々と言われましたけど(笑)」

 子育てが少し落ち着いてきたころからは、星のガイドや、子供たちを相手にライフワークにしているネイチャーゲームにも取り組み始めました。ネイチャーゲームは、知識ではなく、五感で自然を感じることに本質があると語ります。「花を見た時に、これは何科の植物、という活字が頭に浮かんでくると花の本当の姿が見えてこないんです。美しい、きれい、面白い、そういった感覚を持ってもらうことが大切かなと。今は、石垣でもカエルを見たことがないっていう子もいるんですよね。マングローブを案内しているときに、この子たち自然の中に来るのが初めてなんだとショックを受けることもあります」

私は『みんな違って、みんないい』という言葉が大好きなんですけど、自然の中に行くとそれを当たり前のように感じられるんですよね

 「でも、社会を見た時に、この言葉の本当の意味を理解している人ってどれくらいいるんだろうって。学校では特に感じます。うちの子たちは、学校も草履で行っていたんですけど、先生に怒られて靴を履くようになった。なんだか苦しいなと。生き方とか仕事にももっと幅があっていいんじゃないかなと。自分だけで完結するんじゃなくて、家族がいて、社会があって、地球があって、色々なものとつながっている感覚をもてると、生きる力につながるんじゃないかな」

 子供たちには、島の文化や風土を身体に染み込ませてあげたいと言う朋恵さん。ヤップで満月の海に、筏を浮かべてみんなで泳いだ情景を思い浮かべながら、いつか子供たちにもそういう体験をさせたいなとの願いを語ります。

石垣から考えるアフター・コロナの世界

 そして時は過ぎ、ヤップ島プログラムへの参加から30年近い時間が経過しました。今、世界の状況に漏れず、石垣においても新型コロナウィルスの影響は色濃くあります。そうした今の環境をどのように捉えているのでしょうか。

 「新型コロナウィルスの影響で学校も休校になっているんですけど(5月26日現在)、私の周りでは、その良さを感じている人も多いんです。宿題に振り回されずにのんびりできますし。特に3月からゴールデンウィークまでは、石垣島は観光の繁忙期で、いつもは親も子供をほったらかしになるんですけど、今年はのどかにキャッチボールをしていたり。またこの時期は、卵を抱えたオオガニとか色々な生き物がどんどん道路に出てきて、それがタクシーやレンタカーにばんばん轢かれているのを見て心が痛むんですけど、そういうのもなくなってのどかな光景が戻ってきました。」

 本来の日常は、過密ではなくもう少し穏やかなものであるはずと話す朋恵さん。今回は、島の観光や生活のあり方を再考する機会にもなっているようです。

去年は人口5万人の島に148万人が訪れているんです

 「経済的にはありがたいんですけど、観光客が来るということは、水もエネルギーも使う。明らかにキャパをオーバーしてたんじゃないかな。コロナ前は格安の航空券で石垣島にも簡単に来られました。そうすると、ゆっくりと時間を楽しむというより自分たちの日常をそのまま島に持ち込んでしまうんですよ。飛行機の窓を閉めてスマホを見たり、悪気なくレンタカーですごいスピードで飛ばしてカエルに気づかず轢き殺したり、さっと島を回ってこの島はこんな島だからと言って帰ってしまう。私たちは、たくさんの人に島の素晴らしいところを見てほしいと思っています。だからこそ、入れる人の数にも限度を設けたりして、島に敬意を払ってもらえる人、島を大事に思ってくれる人に来てもらいたいんです」

 新型コロナウィルスの影響は、これまで限りなく手段と化していた私たちの移動のあり方に大きな負荷をもたらしました。奇しくもそのことが、今住んでいる地域でのゆとりのある生活や、移動することの意味、そして訪れる先の自然や文化へのレスペクトを考え直すことにつながる可能性を感じさせます。もしかしたら、石垣から遠く離れたヤップ島でも、30年前とは大きく変わって近代化された社会や村の暮らしが見つめ直されているかもしれません。朋恵さんは、人と自然、人と生き物、人とものとが心を通わせ、つながり、敬意をもつことで、もっと「優しい社会」がつくれるのではないかと語ります。

これからのECOPLUSへの願い

 たくさんの経験や学びを語ってくださった朋恵さん。最後に、まもなく30周年を迎えるヤップ島プログラムや、ECOPLUSへの願いを伺ってみました。

 「人間嫌いだった自分が人に目を向けられるようになって、何もかもがありがたいと思える感覚を1週間、10日間で身につけられたことは、生きる上で本当に大きかったです。私はあまり素直じゃない参加者だったかもしれないけど、人に与える影響って、企画される人の意図とは違うところでも育まれるのではないでしょうか。実際に体験する場を息長く持ち続けてくれていることはすごいなと思います。体験した人でないと通じない話ってありますしね。そういう思いを語り合える場やつながりをこれからも残し続けてほしいです

やっぱり種ですよね。種をまく仕事をしているんですよね、ECOPLUSって

 石垣からヤップを経て、また石垣へと戻ってきた1粒の種が、地元で自分らしい根を張り、人と自然をつなぎながら、新たな種や土壌を育んでいる、そんな生き方を感じさせてくれたストーリーテリングでした。

(聞き手:川口大輔=エコプラス理事、1999年ヤップ島プログラム参加)

自主企画:南魚沼市の無農薬田んぼで田植え(5月23日、24日)

首都圏以外、新潟界わいの方のみ、限定20人

 新型コロナウィルスの緊急事態宣言が一部緩和されたのを受けて、エコプラスは、5月23日(土曜日)と24日(日曜日)に、南魚沼市栃窪集落で、無農薬田んぼでの田植えをします。例年、休日農業講座「田んぼのイロハ」として首都圏などからも広く参加してもらうのですが、今回は、近隣地域の市民を対象に、自主参加・日帰り形式で行います。午前9時から午後3時過ぎぐらいまでをめどに、田んぼに直接来ていただいて、作業をします。お弁当、飲み物、行動食など持参でお越し下さい。

  • 趣旨
     巻機山を望む絶景の棚田で、自然をたっぷり感じながら、手作業での田植えをします。ウィルス対策での閉じこもりがちの日々でしたが、安全な屋外で体を動かし、同時に、この騒ぎで注目された「食」や「農」を体験を通じて見直します。自然や環境などさまざまな分野の方も加わる予定。
  • 集合時刻
     23日午前9時。23日に完了した場合は24日はなし、ですが、日曜にも残るような気がします。23日のみの参加も可。
  • 内容
     無農薬田んぼでの、手作業での田植え。小雨決行。お昼ご飯は各自持参。あぜで食べます。飲み物や休憩時のお菓子なども持参下さい。トイレは集落の施設をお借りします。泥で汚れていい服装でどうぞ。ブヨがいますので、防虫スプレーや虫よけネットなどご用意下さい。裸足で田んぼに入ると土の感触がじかに伝わるのでお勧め。ビーチサンダルなどがあると足を洗うのに便利です。
  • 連絡
     メールで、お名前(複数の場合は同行者のお名前も)、携帯番号、到着予定時刻、活動予定時間(何時ごろまで、翌日可など)を記して、tappo@ecoplus.jpまでお送り下さい。当日は090-3214-7549(大前)まで。
  • 定員
     20人をめどとします。
  • 参加
     無料(保険には入りませんので、ケガの場合はご自身の保険でお願いします)

エコプラスの活動予定について

 エコプラスは、今回の新型コロナウィルスの感染拡大に関して、予定していた各種プログラムを以下のように変更します。とりわけヤップ島プログラムに関しては、早くから参加申し込みをいただいていたのに、延期せざる得なくなり、誠に残念です。

 感染拡大は、世界規模で起きており、医療資源が限られる島国に外部からウィルスを持ち込むことを避けたいこと、また米国領であるグアムでの感染拡大にも留意してのことです。

 現場での活動は、しばらくの間、お休みしますが、南魚沼市栃窪集落での無農薬天日乾燥米の販売・予約による地域の応援や、ヤップ島での持続可能な社会づくり活動のリモート支援などは継続して展開します。ご協力をお願いします。

ヤップ島プログラム

 延期します(2021年2月実施=11月に実施を判断)
 理由:米国の渡航規制、日本再入国の規制、ヤップへの感染拡大のリスク、 ヤップで発症の場合の対応、国内での事前キャンプなどの実施の難しさなどから

田んぼのイロハ

 田植え(5月23-24日) プログラムとしてはなし。
  感染拡大の首都圏の人は、無症状感染者の可能性もあるので、参加はなし。 地元の希望者、一部の過去参加者による自主開催。

 草取り(5月30-31日) 延期
  田植え同様、無症状感染者による感染拡大防止のため。首都圏での感染が収束すれば、6月末から7月初めの実施を検討。

 稲刈り(9月26-27日)実施予定
  この時期には少しは首都圏での感染も収まっていることを期待。7月末に最終確定。

 お米の予約販売

 極端な少雪に見舞われた日本の山間地域は、スキー場を中心にした経済が、ウィルス騒ぎも加わって深刻な打撃を受けています。このため、早めではありますが、秋の収穫のお米の予約も始めます。お申し込みは、http://www.ecoplus.jp/2020/04/09/rice-sale-and-reservation/から

高野孝子の地球日記

新型ウィルスで、世界はどう変わる

閉じこもらずに外に出よう!

新潟県南魚沼市の坂戸山で

 2020 年4月8日、薄曇りの中に春の暖かな陽がさし、これを書く窓の外では桜が咲き始めている。その中を、小学生たちが列を作って登校している。おしゃべりしながら学校へ向かう中学生たちの姿も見える。ただし全員マスクをしている。

 新潟県南魚沼市では、3月からの休みを終えて、学校が通常に開始されている。子どもたちがグランドで動いている姿にほっとする。

 新コロナウィルスによって、日本を含む世界は3ヶ月前と変わった。国によって市民生活の制限は様々だが、日本では武漢から始まり、ニューヨークやイタリア北部などの厳しい外出制限や「封鎖」がよく取り上げられる。

 「私たちは一切外出できないの。お隣さんとの連絡も電話。外は春。外に出たい!あなたは大丈夫?」、とモスクワの友人から。

「マニラは大変。東京はまだロックダウンじゃないの?私は元気よ」とフィリピンから。

「家にこもって18日目ですが、あと一か月続きそう。毎日散歩+一日おきに筋トレしてますが、つい飲んでしまうので体重は増加中」とは3月末にカリフォルニアの友人。

 世界のあちこちで、「Stay at home, Be safe! 家にいて、感染しないで!」のかけ合いがされている。

 日本では罰則を伴う「禁止」ではないが、国や自治体、職場、あらゆるところで外出自粛が要請されている。そして今回の緊急事態宣言で、7都府県ではさらに強く要請されている。私が暮らす新潟県では、緊急事態宣言がされた7都府県との往来を避けるよう、強い要請が知事から出された。

 現在、ウィルス感染から身を守るためには、ウィルスに触れないこと、人との接触をできるだけ控えること。そのためによく使われるのが「不要不急の外出を控えて」の言い回しだ。

 コンサートや舞台が中止になり、図書館や博物館までも閉館される。音楽や芸術だけでなく、自分が暮らしを立てている仕事が、社会でどんな位置づけなのか、改めて考えた人たちは少なくないだろう。

 私が関わる野外・環境教育も同様だ。入試にないとか、もうけにつながらないなどと、「主流の思考」からは後回しにされがちだ。しかし人類が生き延びるために欠かせない基盤を提供するものであり、環境危機に直面する今こそ大事な分野だと、自信と危機感を持って取り組んでいる。野外・環境教育をしっかり経た人たちは、災害時や非常時に強い。物理的に必要なものを取り出す知識と技術があるということだけでなく、シンプルに暮らすマインドセットに切り替えることができるからだ。それには工夫する力や逆境を楽しむ力も含まれる。

 コロナウィルスの感染が広がり、物理的に人と会うことが制約される中、人と人が関わりあい、直接体験から学ぶことを大切にしているこの分野では当然、頭を抱えている。それでも仲間からは次のような動画が送られてきた。

 今回のような状況の中で、誰かと直接交わることの大切さを実感している人たちは多いのではないか。オンラインで話はできる。でも誰かと物理的に空間を共有し、話を交わしたり一緒に活動することは全く異なる体験だ。それは5感を刺激し、生きるために欠かせない喜びや感動をもたらす。

 家族との時間が増え、これまで家にいる時間が少なかった分、充実しているという声も寄せられている。私自身、放置していた家の片付けをしたり(少しだけ)、両親と会ったり、夫が作る手料理を楽しむ機会になっている。一方、限られたスペースに小さな子どもといる時間が増える分、苛立った親による暴力も増えているという。

 人間には、人と交わることも欠かせないし、一人のスペースも必要だ。急に誰とも会わない暮らしになり、かつ感染のリスクなどの恐怖もあり、心身に支障がある例も増えていると聞く。

 外出自粛要請は、人と人の接触による感染を防ぐため。だから、一人または家族で外に出て、散歩や山歩きなど、自然の中での活動をどんどんしてはどうか。緊急事態宣言がされた自治体や都市部に暮らしていても、家の周りをよく観察すれば、たくさんの小さな自然やおもしろい発見があるはずだ。これまでの研究で、自然の中で身を置くこと、体を動かすことの、身体上並びに精神的な健康効果は証明されている。閉じこもって別の病気になっては意味がない。芸術や音楽鑑賞も、人間の健康維持に必要だ。市中感染の状態にない限り、来場者が静かに回れる博物館や美術館は対策を取ってオープンすべきだと思う。

感染の後の世界

 「まだ、私たちは耐えなければなりません。しかし、必ずよりよい日がやってきます。私たちは仲間、家族ととともに過ごせるようになるはずです。私たちはまた会えるはずです」。英国エリザベス女王が5日の日曜日にコモンウェルスの人々に語りかけた。

 ウィルス感染がおさまった後の世界は、3ヶ月前と同じだろうか。

 私たちは3ヶ月前と同じように行動するだろうか。1年前にやったことと同じことを同じようにやるのだろうか。

 おそらく答えは「否」だろう。でも何が変わるのだろうか。

 大きな変動の時は、大きな変化の時でもある。自然界ではそうだ。個人でも、1ヶ月あることを続ければ、それ以前とは違う習慣を身につけることになる。2011年の原子力発電所の事故の後、多くの人たちにとって節電を続けるのが当たり前になったように。社会規模でもそうだろう。大きな苦しみや痛み、そして努力を伴うが、1995年の神戸大震災は、社会作りに市民の力が大きくなるきっかけとなった。2011年の東北大震災で、日本は大きく変わると言われたが、結局向いている方向は変化していないという人たちもいる。そしてこのコロナウィルスが招いている事態は、3.11以上だとする言説は多い。なぜならこれは、日本だけでなく、世界中、それも国際政治経済の中心にある国々に大きな影響を与えているからだ。

 この世界的感染爆発は、社会を変え、より良い未来を作るためのまたとない機会とする一方、すでにある不正義をさらにひどくするだけだとするものもある。カナダの作家ナオミ・クラインは、権力はこうした「非常事態」を自分の利益のために利用するものだと警告する。すでに見えていることもあり、私たちは注視し警戒しなくてはならない。

 多くの国々で、経済活動が抑えられた結果、交通量も大気汚染のレベルも大きく下がった。スタンフォード大学の研究者はPM2.5のレベルを解析し、この期間、中国だけを取っても5歳以下の1400人の子供と、51700人の70歳以上の人の命が救われたとした

 観光客が減った各地で、川に魚が戻り、鳥の声が聞こえるようになったという報道やSNSの書き込みがある。普段と違う時間の使い方を強いられながら見えてきたことと合わせて、ウィルスの後の暮らしに求めるものを考えるヒントがあるかもしれない。

 アメリカ人ジャーナリストのピーター・ベイカーはGuardianの記事(2020年3月31日)の中で、現状のパンデミックと環境危機について触れている。長い目で見れば、環境危機の方がずっと深刻で、人類を危機的状況におとしいれるとしながら、この二つはいくつかの点で似ているとしている。例えば、両者とも、世界中で通常でないレベルの協調が必要であること、人々の態度の変容が必要であること、どちらも長いこと確実に起きると言われながら各国政府が必要な対応をしてこなかったこと、マーケットの常識をひっくり返す強い政策が求められること。各国政府は、「環境危機」もパンデミック同様「非常事態」と認識して行動できるはずとする。

 確かに、世界各国の施策として、これまで考えられないようなことがCOVID-19を抑えるために行われ、かつ経済対策も初めてのことだらけだ。そんなことができるのであれば、環境危機に対してもこれまでにないレベルでできるはずだ。

 一方で、この非常事態を口実に、アメリカではパンデミックと関連があれば企業が汚染規制に触れても罰しないなど、様々な環境保全の規制を取っ払おうとしている。中国では企業の環境アセスメントを見送るとしている。使い捨てプラスチックを推奨するキャペーンも一部で始まっているという。ハンガリーでは政府の権限が強化された。

十分な情報を

 首都圏を含む7都府県に緊急事態宣言が出された。ニュースでは、感染拡大が収束するかどうかはとにかく国民一人一人の自覚と行動変容であるという内容や、街から人が消えたという報道の一方で、それなりの数の人が動いていて実効性はあるのか、など論じられている。

 一番嫌なシナリオは、「要請」ではラチが開かないとして、政府がさらに私権を制限できるよう権限強化の拡大を図る法律へと動くことだ。これだけはやらせてはいけない。

 新型コロナウィルス感染に関しては、各国の様子からすでに多くが学べているにも関わらず、日本政府の言動は後手に見えたり、整合性がなかったり、理解できないことが多い。

 2月の中国の様子、欧米の「都市封鎖」や連日の報道から、私たちは不安をあおられ緊張することも多い。けれども状況はあらゆる場所で一律ではない。情報に踊らされずに根拠を求め、冷静に自分で考え行動することが大切だ。それには信頼に足る十分な情報がなくてならない。

 報道を見る限り、政府がどんな根拠で決めているのか、疑問が尽きない。なぜ各国のようなレベルの数のPCR検査ができないのだろう。韓国から検査薬やノウハウ含めて輸入できないのはなぜだろう。「非常事態」なのだ。政府が重大な情報を国民から隠したり、自分たちに都合の良いように操作することは、これまで何度もあった。政府や自治体が信頼できない限り、市民・国民は従えない。私たちが納得して「協力」できるよう、重要な情報や決定過程を明らかにしてほしい。

未知のウィルスはまた必ず登場する

 気候変動は人間の活動によって引き起こされたとする見方が現在は通説であるが、COVID-19のようなウィルスによって人間が病気になるのも、人間が生態系を破壊したことによると多くの科学者が指摘する。人類にとって未知なウィルスは無数に存在する。人間が生態系を破壊することで、病原菌は動物など元々宿っていたホストからリリースされ、近くに存在するようになった人間を新しいホストとするというのだ。

 近年のSARSやエボラ熱、鳥インフルエンザなど、近年の多くのウィルスが野生動物に起因する。それらも自然界への人間の干渉が、人間の健康リスクを高めているとする。つまり今回のような感染拡大は、人間の経済活動の隠されたコストだという。

 COVID-19を押さえ込むのが当面の課題だとしても、必ずまたパンデミックはあるので、長期的な視野に立ってあらゆる対策を講じておかなくはならないと科学者たちは指摘する。

 ウィルスは昔から人間とともにあり、人間はそれらと共存するだけの集団免疫を獲得して生き延びてきたとされる。生物学者の福岡伸一は、「ウイルスは私たち生命の不可避的な一部であるがゆえに、それを根絶したり撲滅したりすることはできない。私たちはこれまでも、これからもウイルスを受け入れ、共に動的平衡を生きていくしかない」と語る(朝日新聞20.04.06)。

 次のパンデミックや他の非常事態に備える長期的戦略の一つに、人のリジリエンスを高めるような体験的な教育は位置づけられるだろう。

 今回の感染はいつどうやって収まるのか。理屈では、全世界で集団免疫が獲得されるまで続く。それには数年かかると言われているので、ワクチンや治療薬が見つかる方が先かもしれない。

 私たちはしかし、いずれ動き出さなくてはならない。それはどんな世界、社会の中であろう。どうせならより良いものを目指し、その変化、変容の準備をしながら、今を進んでいきたい。

(2020年4月7日)

Snow Camp in Niigata

陽光の中で、雪ざんまいキャンプ

Jumping into the snow 雪の中に飛び込む

ECOPLUS conducted snow camp from March 20 to 22 in a mountainous village, Shimizu in Niigata, Japan with 12 participants including high school, university students and young adults. TAKANO Takako, executive director of ECOPLUS, Shimizu villagers and 2 other staff supported the program.

 2020年3月20日から22日まで、新潟県南魚沼市清水地区で、恒例の「雪ざんまいキャンプ」を開催しました。参加したのは高校生から大学生、社会人まで12人。高野孝子代表理事ほか2人のスタッフ、地元集落のみなさんと一緒に、雪の中での2泊3日を存分に楽しみました。

Due to extraordinary warm weather condition of this winter, snow was far less than normal. We only had 50cm to 1 meter of snow at the filed where it should have more than 2 meters. However, wet snow and strong wind suddenly came when the participants began to set up the tents, toilets, the fireplace and other facilities.

 この冬が異常に暖かだったことから、例年なら2m以上の雪がある現地も、50センチから1mほどの雪しかなく、一部は地面がむき出しになっているところまでありました。みんなで調理場やトイレ、テントなどの暮らしの環境を整えようとした矢先、強烈な風交じりの雪が降り始めて、一気に冬に戻ったようになりました。

Finally they set up the living space. Creative boys’ and ladies’ toilets were built in snow decorated with leaves and trees. Cooking was also done on the snow. They cut vegetables on the snow table and made fire on the snow.

 出来上がった男女別々のトイレは、それぞれ雪や落ちていた木の枝を使ってアートに仕上げられていました。料理も雪の上。雪の上で野菜を切り、雪の上で火を付けて調理をしました。

On day 2, we enjoyed snow shoe hike under the blue sky. Using traditional Japanese snow shoes, called “Kan-Jiki,” we started walking. On the surface of snow, many animal footprints were spotted. The villager, ABE Kazuyoshi, taught us they were raccoon’s or marten’s. We also found marks of hares, squirrels and others.

 2日目は、晴天のもと、かんじきハイクを行いました。日本の伝統的なかんじきをそれぞれはいて、山の中に。雪の上にはあちこちに動物の足跡がついています。地元の阿部和義さんが「あれはタヌキ」「こっちはテン」と教えてくれます。ほかにも、ウサギやリスなどの足跡を見ることができました

During three days, we spent time on the snow; cooking, eating, talking, playing, sleeping, and so on. Villagers offered us a big pod of wild bore stew and wild deer curry and rice. They talked about life and nature now and then. We concentrated our senses on listening, watching, communicating, without being annoyed by modern devices. By simply using time just for living, participants had rich and dense learning experiences.

 3日間、私たちは雪の上で、料理をし、食べ、話し、遊び、眠るなどして過ごしました。村人からは、イノシシ鍋や鹿肉カレーなどもいただき、また山の自然や暮らしが今と昔でどう変わってきたかの話を聞かせてもらいました。この間、スマホなど「便利な」道具はほとんど使わず、聞いたり、見たり、話しをしたりすることに集中しました。暮らしことのために時間を使うなかで、参加者たちは、豊かで濃い学びを体験することが出来ました。星空を二日続けで見ることができた。自然の偉大さや厳しさを感じることができた

 星空を二日続けで見ることができた。自然の偉大さや厳しさを感じることができた。

男子高校1年生

 雪でできることがこんなにも多いとは思わなかった!クリエイティビティがあれば可能性は無限大。

男性社会人

It was gorgeous to watch so many stars every night. I felt the greatness and severity of the nature.

10th grader, boy

I was surprised to find that so many things could be done with snow. Possibility is infinite only with your creativity.

Male, business person

なごやかにヤップ島プログラムの報告会

 ヤップ島プログラムの報告会が、2019年12月7日午後2時から5時まで、東京都千代田区の神田公園区民会館で開かれました。今年のプログラムに参加した9人のうちの8人のほか、これまでのプログラム参加者や家族知人など計25人が、ヤップでの体験とそれを通して見つけた大切なものについて語り合いました。

 会場では、できたばかりの報告書が一人ひとりに配られ、みんなは関連するページをたぐりながら、今年の参加者の報告を聞きました。

 最初に、参加者たちがそれぞれの自己紹介を短くしたあと、ヤップ島での活動内容を、写真をふんだんに使って説明しました。今年の滞在先である、タミル地区のマ村の美しい海岸沿いのメンズハウスで、火を起こし、魚をさばき、ココヤシの実の果肉を削り、パンの実やタロイモを調理したこと。大きなヤシの葉っぱでマットやバッグを編んで使ったこと。地元の人たちがシャコガイの再生を目指して増殖活動をしていること。きれいな朝焼けを見たこと。現地のことがよく分かる発表でした。

 後半は、参加者それぞれが、プログラムを通して感じた自分自身の変化を報告しました。多くの参加者が、以前は「自分自身に自信が持てなかった」「他人に左右されやすい」「回りの目を気にしすぎる」などと話し、ヤップ島での体験を経た今は「自分で考え選択出来るようになった」「自分の意見が言えるようになった」「自信がついた」「自分を好きになった」などと、自分自身への肯定的な言葉が相次ぎました。

 現地で気付いたこととして、「幸せというものは、シンプルなもの」「幸せは身の回りにある」「人の愛のあたたかさ」「自然の中で暮らす心地よさ」「本当の豊かさは、日々の暮らしの中にある」などがあげられました。

 このヤップ島プログラムは、4、5月の説明会から始まり、事前打ち合わせ、事前キャンプ、素潜り講習会、食料計画作りを重ねて、8月の本番、帰国してからのふりかえりと報告書作り、そして報告会と、半年にわたって続きます。その中で、当たり前だと思っていた日々をふり返り、ヤップ島の小さな村の暮らしにどっぷりとひたり、日本に戻って再度自分たちの暮らしを見直すというプロセスです。その中で、最後は自分自身の生き方を問い直す作業にたどり着いたことがよく分かる発表会でした。

 来年度も、8月後半の2週間近くにわたってヤップ島プログラムを実施する予定です。興味関心のある方は、いまからでもinfo@ecoclub.orgあてにご連絡下さい。プログラムの準備状況やヤップ島の近況報告などをお知らせします。

ゆたかさとは何かを考えた11日間・・・12月7日(土)ヤップ島プログラム報告会

 近代化の波が押し寄せる現在でも、自然と調和した暮らしを維持しているミクロネシア連邦のヤップ島に、日本から9人の大学生がこの夏出かけました。
 コンビニやスマホから離れたシンプルな暮らしの中での11日間。「生きるということ」「豊かさとは何か」を考えてきました。その参加者手作りの報告会が、開催されます。ぜひご参加下さい。

【日時】12月7日(土)14:00~16:30(受付開始13:30)
【場所】神田公園区民会館4階洋室A
    東京都千代田区神田司町2-2
     神田駅、淡路町駅、小川町駅から、いずれも徒歩5分

【プログラム概要】
 ヤップ島の紹介、プログラムを通じて感じ、考えたことの発表
 報告会参加者とのトークセッション

【登録方法】以下のフォームに、必要事項をご記入ください。当日参加も可能ですが、報告書などの配布を予定しておりますので、事前のご登録をいただければ助かります。

【持ち物 :】マイコップ(飲み物を準備する予定です。ゴミ削減のためご持参ください)
【参加費】無料

【懇親会】17:30ごろから約2時間、神田駅周辺で会費制の懇親会を予定しております。参加を希望される方は上記フォームでお知らせ下さい。

稲刈りは10月13-14日で実施ー台風19号で

緊急対応で参加者募集、参加費は半額に

 直前の変更なので、参加者が限られています。稲刈り応援の参加者を募集中。11日金曜日午後5時までにお申し込みをお願いします。

 今回の稲刈り編は、稲の登熟が遅かったことから当初の予定から1週間延期して10月12-13日に開催予定でした。しかし、台風19号が12日に関東地方を直撃する見込みとなりました。台風はその後東向きにコースを変えて、急速に北東に進行する見込みなので、13-14日で実施します。

 日程は予定通りとし、1日目の昼過ぎに現地集合、2日目の夕方3時頃現地解散です。実地作業、座学、集落の自然や生活を知る散策、集落のみなさんとの懇親会などを予定しています。

 緊急対応となるので、今回のプログラム参加費は、通常の半額とします。

【参加費】5,000円(プログラム費、2日目昼食、保険料)学生半額、エコプラス会員2割引。小学生以下の子どもと棚田オーナーは保険料、昼食の実費(1,000円)のみ。
【場所】新潟県南魚沼市栃窪集落
 集合・解散時間に合わせて最寄りのJR上越線塩沢駅まで送迎いたします。
【宿泊】地元の温泉民宿 7,500 円(1泊2食、温泉付き、男女別相部屋)
【特典】秋に収穫したコメをおひとり2kg贈呈。

<<田んぼのイロハへの申し込み書>>

自然の中でていねいに暮らす・・・ヤップ島プログラム2019

Apart from smartphones and convenient shops, Students learned how to live harmoniously with the nature in Yap

Yap-Japan Cultural Exchange Program 2019 was held from 13 to 25 August with nine students from Tokyo and Kansai area including one graduate student. We stayed at Maaq village, Tamil and experienced traditional and local lifestyle of Yap.

 2019年のヤップ島プログラムが、8月13日から25日までの日程で行われました。首都圏や関西の大学生8名と大学院生1名の9人の参加者がタミル地区マ村でヤップ島の伝統的な自然と共存した暮らしを体験しました。

 滞在した場所は、メンズハウスと呼ばれる村の男性たちの集会所。海面上昇の影響で使えなくなった前のメンズハウスを村人が2年間の月日をかけて工事し、今年の6月に完成したばかり。海辺にそびえ立つ美しいメンズハウスの中で蚊帳を張り、村のお母さんたちに教えてもらいながら編んだヤシの葉のマットを敷いて寝ました。

We stayed at the Men’s house which is the community house for men in the village. The villagers finished two-year long reconstruction work of the house in June. Because the old one was damaged by high waves caused by sea level rise, villagers decided to raise the ground 1 meter up and reconstructed new build using old techniques. Their new Men’s house was shining beautifully at the seaside. We were staying in the house hanging the mosquito nets and laid on the coconut frond mat that they weaved by themselves.

 プログラムの前半は暮らし作りに時間をかけました。自分たちで編んだココヤシの葉のカバンを持ちながら村の子どもたちに村を案内してもらったり、地元のレモンの汁で洗濯をしたり、火を起こしたり、村人から差し入れでいただいたココナッツやタロイモ、バナナ、パンの実、魚などの食材の調理方法を学んだり、ヤップ島の豊かな自然の恵みを受けながら、村人の知恵を教わり「生きる」ための知識とスキルを身につけました。

For the first half of the program we took time to gain the skill and knowledge for living. Weaving the bag by the coconut frond and walking around the village seeking for some food, washing their clothes with lemon, making fire, learning how to cook taro, bananas, bread fruits and fish which was kindly shared by the villagers, husking the coconuts and so on. By receiving the blessing of the rich nature of Yap and learning the way of living and kindness of Yapese, the students slowly acquired their knowledge and skills of the island.

 中盤では、ヤップの家族の日常にお邪魔するホームステイ。家族と料理をしたり、漁に出たり、伝統工芸を教えてもらったり、教会に行ったり、温かい家族に受け入れられ、様々な体験をした彼らは、2泊3日の滞在を終えてメンズハウスに見違えるような明るい表情と声色で戻ってきました。その晩、家族が持たせてくれた「お弁当」を食べながら夜中の2時までそれぞれの思い出話を語らいました。

In the middle of the program, the students experienced the daily life of Yapese by home-staying for 2 nights and 3 days. They were experienced the diversity of lifestyles in Yap by cooking, fishing, learning traditional skills, and attending mass at the church. They came back from the homestay with shining smile and kept sharing about their different experiences and their lovely family until 2 am in the midnight. 

 ホームステイでヤップ島に「家族」を作った参加者の行動は明らかに変わりました。それぞれが家族から教えてもらった知恵やスキルをシェアしながら、自由に「暮らす」ことを楽しみ始めました。また、一人ひとりにとって大切な場所になったマ村への感謝を込めた「ありがとう活動」としてメンズハウスの周りの草抜きやゴミ拾いをしました。

The behavior of the students who created the “family” in Yap has been clearly changed. Each began sharing their knowledge and skills taught by their families at the homestay and enjoying “living” itself with feeling the freedom. In addition, they expressed their appreciation to the village as a “thank you activity” by cleaning weeds and picking up trash around the men’s house.

 さらに、TRCTという滞在したタミル地区の環境保護団体による活動を見学したり、中心地コロニアにあるゴミの埋め立て地、リサイクリングセンター、ビンロウ樹の皮を使ったローカルプレートを作る作業場などを見学しヤップ島が抱えている問題とヤップの人々の取り組みを学びました。ヤップ島に「家族」ができた参加者にとってヤップで起こっているものはもう他人事ではありません。

In addition, they were learning the serious problems what Yap island is facing and what the people are doing to solve those problems by joining the activities of  TRCT which is an organisation to protect the environment in Tamil area, visiting landfill site, recycling center and the local plate factory made by the beatle nuts tree’s skin. For the students who get precious “family” in Yap, what is happening in Yap is no longer somebody else’s problem.

 最終日には、村人と共にフェアウェルパーティーを行い9人の学生たちは、村から学んだことを言葉にしてメッセージとして村の残しました。

「生きていることは美しい」

「幸せに生きていくヒントを見つけた」

In the last day, we held a farewell party together with the villagers and host families. The students shared what they have learned during their 10 days in Maaq village.

“Being alive is beautiful”

“I got the suggestion how to make my life happy”

成田空港に到着して最後の振り返りの際に、参加者の中には涙を流しながら日本の生活に戻ることへの不安を共有する者もいました。ヤップ島プログラムはこれから、それぞれの心の中にヤップの美しい自然や人々の知恵と愛情を残しながらこれからも生き続けることでしょう。報告:ボランティアスタッフ猶井咲喜

At the final sharing meeting at the Narita airport, the students shared what they have learned and some people were talking about their anxiety to go back their “everyday life” in Japan with tears. The beautiful nature and the people’s wisdom and love will continue to live in their heart forever.  Reported by NAOI Saki

びっしりの雑草を見事に整理

田んぼのイロハ草取り編に早稲田大学の学生が実習で参加

Weeding Workshop at Organic Rice Paddy

35 Students of Waseda Joined the program.

 エコプラスが主催する休日農業講座「田んぼのイロハ」草取り編が2019年6月8-9日に、新潟県南魚沼市栃窪地区で行われました。今回は、早稲田大学の実習チーム35人による貸し切り実施となりました。

ECOPLUS held organic rice farming workshop called “Tanbo no I-ro-ha” or “ABC in a rice paddy,” on 8-9 June, 2019 at Tochikubo village in Niigata, Japan, having 35 students from Waseda University in Tokyo.

Time Lapse Video shows great progress. 時間短縮ビデオで見る学生たちの草取りパワー

 今年は5月に雨がほとんど降らなかったために、田んぼが乾いて雑草が大量に発生してしまいました。除草剤をまったく使っていない無農薬田んぼなので、イヌビエなどがびっしりと育って、稲の苗が分からなくなるような場所も。学生たちは、裸足で田んぼに入り、両手を泥の中に突っ込んでかき回すようにして草取りをしました。

Since we had very limited rain falls in May, some areas of rice paddies dried up and it helped weeds to grow seriously specially at our non-chemical, totally organic paddies. Students waled into the paddy with bare feet and used fully opened hands like as rakes to clear weeds.

 ちょうど前々日の金曜午後からの雨で、田んぼは水で覆われていましたが、その下の土は乾燥のためにしっかりと固まっていて、指も突き刺さらない状態。稲そっくりに伸びたイヌビエをむしり取るような場所もありました。9日午前9時から始めて、午後1時半までの4時間余で、広さ1反(10アール)余の2枚のたんぼをきれいにすることが出来ました。

Paddies were filled by water thanks to the rain since Friday evening but in most of the paddies the soil was so solid because of long dry condition that it was difficult to push fingers in the soil and we needed to pull out each weeds. Started the work at 9 am on Sunday, it took 4 hours and more to finish two rice paddies which size is over 1,000 square meters.

 農作業以外にも、農家のみなさんから話を聞いたり、専門家による生きもの調べをさせてもらったりと、農山村の自然と暮らしに触れた2日間。学生たちは「本来の生きるということを実感した」「農作業の大変さを感じた」「もっと食料を大事にしたい」などと感想を残してくれました。

Beside weeding in rice paddies, villagers gave them lectures, and a specialist conducted nature tour. Through those students had a chance to feel the relationship between nature, life and community. They left comments like, “I strongly leant the true meaning of to live”, “I understood the hardship of farming”, “I should have more appreciation on food”.