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「地域に根ざした教育」シシリア・マーツ(ダチュック)さん講演内容2

ほんの少しだけお話しさせて頂きましたが、こういうことは、先程のバーンハート先生の話の中に出てきた、あの「氷山」の一番下の方、ふもとに来るようなごく一部となるのです。私どもが進めている、このヤーベスカニヤラクプロジェクトには長老にも参加してもらっています。このユーヤラックの教えを読むと長老の目には涙が浮かんできます。

この学校区ではこのユーヤラックの内容をカリキュラムの基本として活用しております。そして今お見せしているポスターの状態で学校の教室にはり出されています。ですから、これを見ながら就業前の子どもたち(幼稚園1年生ぐらいの小さな子ども)でもこれを暗唱できるようになっています。

私どもが進めているこのプログラムはあくまでも、その集落の人々のための、集落の人々が参加するためのプログラムであって、外の人が来て教えるものではありません。自分達の集落の長老たちの参加を得ながら進めている教育プログラムです。そしてこのプログラムに参加した人たちが、自分達の子どもにこの内容を教える、そしてまた子どもたちの仲間へと、この教えがどんどん広がりつつあります。この教えを知った人たちは自分達が何者であるかを知り、それを大変誇りに思うようになりました。また、このプログラムに参加している長老、お年寄りは、大変な知識を持っているので、その知識を若い人たちや夫婦に教えて欲しいと依頼されたことが嬉しく大変喜んで教えてくれています。彼らが遣う言葉は、これも非常にレベルが高い言葉であり、多くの人たちが忘れてしまった、あるいは全く知らないような、そういう言葉を使って教えてくれます。

このプログラムを始めて数年になりますが、この間に参加してくれていた長老たちの半分が亡くなってしまいました。このような長老が亡くなるということは彼らの持っていた膨大な知識も彼らの命とともに無くなってしまうということです。本来、より多くの人が学ぶべき、教えてもらうべきであった、そういう知識が失われるということの深刻さを考えることが大切です。日本に来てから、新潟県南魚沼市の栃窪集落というところに行きました。ここでも土地の子どもたちがお年寄りと一緒に活動しました。子どもたちが、「本当にたくさん学ばなければいけないことがあるんだね」と言ってくれたことが大変嬉しかったです。

まだまだお話ししたいことはあるのですけれども、私からのお話はこれぐらいで終わりにしたいと思います。皆様もぜひお年寄りを大切になさってください。そして環境を大切になさって下さい。それが皆さん自身を大切にすることにつながると思います。

「地域に根ざした教育」シシリア・マーツ(ダチュック)さん講演内容1

シシリア・マーツ(ダチュック)氏
チュピック民族教育家
アラスカ大学教育学修士。アラスカ大学アラスカ先住民研究助教授を経て、1999年から「ヤーベスカニヤラク」プロジェクト推進委員。
アラスカ先住民研究の第一線で活躍し、先住民文化、言語、精神文化、異文化教育などの分野でも貢献。
*チュピックはユピックエスキモーと同じ民族

チュピック民族の教育観

お話を聞いていただく前に私が着ている衣装を見ていただきたいと思います。集落によって違いはありますが、これはアラスカ先住民の女性が着る「カスパック」という服です。もちろんこの他に先住民族には独特の様々な衣装があるのですが、今日は持ってきておりません。私の夫マイクが着ているのも「カスパック」と呼ばれる先住民の物です。男性用です。

私の名前「シシリア」というのは先住民ではない「外」の人からつけてもらった名前で、私の本来の名前、民族の名前は「ダチュック」です。学校に行って初めて私の名前が「シシリア」だということを知りました。日本でも同じようなことがあるかもしれませんが、現代のアラスカ先住民は自分たち本来の文化をそして本来の言葉を失いつつあります。成人した若い人たちは子どもたちを連れて村から出て行ってしまう。また集落に住んでいる人たちも西洋式の生活を身につけてしまっています。

大変深い文化的な知識を持っている村の長老たちは高齢で亡くなってしまう、あるいは、まだ生きている長老たちも、本来彼らの知恵を活用すべきである、地域社会あるいは学校でそれらの知識を活かすことなく暮らしています。

私の住んでいるチュピックの地域、チバック村では2人の長老に毎日必ず学校に出向いてもらい、教育のプロセスに関与するようにしてもらいました。このようにいくつかの学校では長老の知恵を学校で活用するようになってきています。

もう一つアラスカの私たちの生活の現状として申し上げたいのは、community‐地域社会‐の感覚を多くの人たちが失いつつあることです。本来の文化、言葉が急速に失われつつあるという、このような現状を踏まえて、ここ2,3年長老たちと何回もミーティングを重ねてきました。その結果、「ヤーベスカニヤラク」というプロジェクトを立ち上げることになりました。このヤーベスカニヤラクは、いろいろな意味を含んだ先住民の言葉です。その中から2つだけご紹介したいと思います。ユピック・チュピックの言葉でいろいろな意味があるうちの一つで、一つのレベルからより高いレベルへ行くという意味です。もう一つは、文化を学ぶことによって、本来自分が何者であるかを知るという意味です。このポスターは、「ユーヤラック」と言い、これを私たちの教育のカリキュラムの基本、土台として現在新しい教育プログラムを進めています。これは、教育学で修士課程にいる人たちが村の長老の助けを得て、このように書いてまとめたものです。これを英語で翻訳しようと試みたのですが、英語ではこの言葉が持つ本来の意味が十分に表現できないということが分かりました。この内容を説明すると3時間ぐらいかかり、また、ここに書かれている教えを実践するには一生かかるものです。

例えば、「qanruyutet」という言葉がありますが、この言葉だけでも、その意味するところを文字にしたら、図書館いっぱいになってしまう膨大な知識の量となります。情緒的なもの、精神的なもの、物理的なもの、またメンタル、精神的なもの、それら全てかつ、手に触ることができるものできないもの、全てが含まれます。今日はここに書かれている全ての教えを時間の関係で正しく説明できないので、いくつか具体的な例を挙げながら、ご理解いただきたいと思います。第三段落目のところですが、自然を大切にするという内容が書かれています。すなわち、ここで言っているのは、世の中全てのものには意識がある、魂があるということです。例えば、赤ちゃんでも、あるいは、アザラシでも、海でも、風でも、全てのものに意識がある、魂があるということです。

もう少し具体的な例をあげると、私たちが山や海辺、荒野を歩いて行ったときに、道に土に半分埋もれているような丸太が転がっていたとしましょう。その丸太を見て、私たちはそのような木にも意識があるのだと考えます。そして、その木は意識があるのだから疲れているだろう、すっかり湿ってしまって居心地が悪いだろうと考えてその木をひっくり返してあげるのです。このように転がっている木をひっくり返すという行為には、何か良い事がつながるようにという願いが込められています。それをすることで、この木が別の誰かの役に立つのではないか、と、ちょうど誰か病気の場合に病気が良くなるようにと願うような同じ気持ちになるのです。そのように転がって埋もれた木も、ひっくり返すことによって乾いてくる。そうすると、生存の為にその木を必要としている人に役立つかもしれません。

もう一つ、アザラシの例です。アザラシは皆さん良くご存知かと思います。先住民はアザラシを獲りますが、決して無駄にしないで、すっかり使い切るようにしています。アザラシの皮で着るものを作ることができます。バックを作ったり、あるいは、保管貯蔵するための袋を皮で作ることができます。肉は生きていくため、生存のため全て食べます。そして骨も、ゴミとして捨てることはしません。骨を捨ててはいけないと教えられています。アザラシの骨は全て池に持って行き、池に入れる。自然に還すのです。

一段落目の「Ilakulluta」という言葉は、いくつかの意味を持っています。その一つは、長老を大切にしなさいという意味です。私たちの文化では長老のために食事を作ってあげたり、家を掃除してあげたり、どこかに行く時には連れて行ってあげたりというように、長老を大切にします。私たちの文化の教えとして、長老というのは大変な知恵を持っている、長老を助けることで、彼らの知恵に助けられ、助けた人がその人生で成功ができると教えられているからです。

またこの言葉は、自然をうやまうということも示しています。自然に関しては自分たちの住んでいる環境を知ること、自分たちが住んでいる地域の動物を知ることが大切です。例えば動物の中でも、鳥たちに関する物語を子どもの頃から聞かされて私たちは学んでいきますが、すべてを語るのに5日間かかります。長い長い物語なので、さわりだけをご紹介します。この物語は、地域で一番小さな鳥が主人公です。この小さな鳥が伴侶を失ってしまい、別の伴侶を選ぶことになりました。そしたら、全ての他の鳥たちがこの鳥のもとにやって来た。非常に大きな鳥から非常に小さな鳥まで様々な鳥が訪ねて来た。この物語を聞きながら、私たちは全ての鳥の鳴き声や色、そしてその名前を覚えるのです。なぜこんなに長い物語になるかと言うと、私たちが住んでいる地域にはたくさんの鳥がいるからです。

「地域に根ざした教育」レイ・バーンハートさん講演内容3

生徒のための文化基準
これは、アラスカの全ての教育プログラムで義務づけられている27の文化基準の一つです。

「文化的に知識が豊かな生徒というのは自分のコミュニティの文化遺産や伝統にしっかりと根ざしている」

それぞれの文化基準に対して具体的な実践例が6つずつあります。それらはインターネットで見ることができます。

この文化基準に加えて、先住民族たちは教育制度の中の様々な要素において実施するための一連のガイドラインを制作しました。教師は何を知らなければいけないのか、学校で効果的に基準を実施するためにどんなことができるか、といったことです。これらが教師たちにどのように役に立っているかは、会場にいる妻キャロルに聞いて下さい。彼女は、フェアバンクスで小学校の教育プラグラムの責任者をつとめています。

その他にも、伝統的な子育て、親の役割に関する一連のガイドラインもあります。

教師の多くは他の地域から派遣されているので、地元の長老たちの役割、彼らが教育に貢献できるのかというのを、そういった外から来た教師たちにいかにわかってもらうのか特に懸念されました。この長老の女性ルイーズさんは、自分自身が受けたしつけについて話してくれました。このように、地元に伝わる知識を文化的に適切な方法で学校にとりこむ手助けをしてくれたのが長老たちです。ルイーズさんについては、シシリアさんが後で教育哲学についてお話しする時に、出てきます。

ユピックやチュピックというアラスカ南西部に住む人々は、子どもたちの教育について民族性に根ざした深い期待を表現します。

どのコミュニティにもその土地独自の知識が伝わっています。それを土台にして学校のカリキュラムを作ることができます。ここに載せているのは、地域と文化に根ざした、私たちが開発した教育のリソースの例です。生徒が学校で経験したことを、どのように学校の外の生活の中で活かしていくことができるのか、といったことが書かれています。

例えば、科学の授業では、アラスカの遠隔地のコミュニティであっても、コミュニティで実践されていないことを通して科学を教えることはほとんどありません。そりは摩擦の学習に使うことができます。地元に伝わる気象観察のスキルを衛星画像と比べて気象学を学ぶことができます。地元の言葉には、雪とか氷を表す実に様々な用語があり、物質の状態、昇華、エネルギーの伝達、熱力学なども学ぶことができます。

高校での数学の問題も地元の独自のテーマを使って作ることができます。

潮の満ち引きのパターン、季節の移りかわりといった地元の知識は、どのコミュニティにも豊かに存在しています。これらを使うことによって勉強が生き生きとしてきますし、教室の中では得られない経験をすることができます。

地元で採れる食用の植物、薬草、伝統的な治療法などに関する知識は多くの先住民族のコミュニティにとって生死を決める大事な事です。これらの地域には民族植物学という確立された分野があります。

教師たちが周りのコミュニティや環境の中にある知識を活用することができるように「文化的に責任のある科学プログラム」というハンドブックを作りました。このカリキュラムの教材や文化的な資料は教師たちが開発したものです。ウェブサイト上に、アラスカのどこからでも、日本からでも手に入れることができるようになっています。

これらのカリキュラムのリソースはこの10年間に蓄積されてきました。私たちはそれらを様々なテーマでまとめて文化に基づく枠組みを作りました。これらは今フェアバンクスの実験校で7年生から12年生のカリキュラムとして利用されています。エフィー・コックリーン・チャータースクールでは、1年を通じて四季の暦にわけ、学校が運営されています。全てのコースは3週間ずつの短期集中型プログラムに分割されているので、これ以外の時間は外のコミュニティや周りの環境の中で過ごすことができます。

これまで話してきた内容をまとめると、アラスカの河川敷や浜辺はとても有望な学習環境を提供しているということです。生徒たちが学問的、文化的教育の両方を達成できる環境です。地域や文化に根ざした教育を通して、生徒たちはグローバル化された世界においても自分自身の人生を形づくることができます。その一方で、彼らの生活を支えるコミュニティの環境知識を保持していくために必要なスキルを学ぶことができます。

教師たちは、文化を単なるカリキュラムとして教えるだけでなく、地元文化を世界に開かれた扉として教えるのです。

アラスカ先住民族知識ネットワークのウェッブサイトで、今日お話した情報を得ることができます。
www.ankn.uaf.edu

「地域に根ざした教育」レイ・バーンハートさん講演内容2

アラスカ先住民教育:相互関係へのステップ

歴史的にアラスカの地方の学校は、コミュニティに伝わる独特な知識や技能にはほとんど配慮しない、自分たちの住む土地とは異質の外から取り入れたカリキュラムを使っています。
先住民族のコミュニティに小学校ができたのは20世紀半ばのことです。地方のコミュニティに中学校ができたのはほんの30年前のことです。
1975年以前は、村の子どもたちが高等教育を受けるには住み慣れた土地を離れて寄宿舎に入らなければなりませんでした。そこで私たちは、学校とコミュニティの間でアイデア、知識、技能を交換しようと対話をはじめました。学校もコミュニティも共に生徒たちに対する価値の知識を持っているからです。

地域との対話を始めるにあたって大きな助けになったのは、アナヤカ・オスカー・カワグリーという人です。彼は博士論文で、自らの出身であるアラスカ南西部のユピック族の世界感、ものを理解するやり方、教育的な実践について詳しく述べています。

カワグリー博士は論文で、自然界と精神世界がユピックの存在を作り上げていると言っています。自然界や精神世界と人とのダイナミックな関係がユピックの世界観を形成していると言っています。

博士は、人間と自然界や精神世界との相互依存を考慮せずして人間世界の役割を考えることはできないと言っています。つまり、人が周囲の世界とどう交わるか理解せずに、科学や歴史を教えることはできないと言っているのです。

これは、二つのレベルでどのように教育システムを変えていったのか示しています。

まず、私たちは先住民族の長老たちに、どのようにして地域の知識体系を学校のカリキュラム向上のために活用できるのかを尋ねました。この作業がこの図の上の方です。

当時すでに確立されていた州のカリキュラムの中に地域社会に伝わる世界観、地域の事柄を知る方法をどう組み込むか考えました。そしてこの二つの知識の流れを統合して、それぞれが補いあい、生徒たちの学習体験がより広く、深まるようにしました。

長老たちと一緒に作業を進めていく中で一つ明らかになったことがあります。それは、地域文化の目に見える部分をカリキュラムに入れるだけでは不十分だということです。学校では、ダンス、食べもの、民話、生活手段などを教えます。それらは氷山の一角にすぎないということです。もっと深いあまり目につきにくい知識も、コミュニティでの暮らしには大切なのです。

このように形のない地域の知識、例えば、気象予報、ナビゲーションのスキル、伝統医学、物を測る技術、言葉、技術やサバイバルスキル、といったものを比較研究することで、生徒たちは地域の多くの知識を得られるのです。

地元の知識を文章にまとめる作業では、長老たちが非常に重要な役割を果たしました。例えば、アサバスカンの長老であるハワード・ルークが書いた本には、アラスカ内陸部に住む人にとって伝統的に重要な場所を記した地図が載っています。これらの場所はゴールドラッシュによってタナナバレーに新しい生活様式がもたらされるずっと以前の時代の場所です。

アラスカのそれぞれの文化地域に住む長老たちもそれぞれの教育制度に貢献してくれました。自分たちのアイデンティティや周りの世界との関わり方を象徴するような価値観をリストアップする作業に協力してくれました。

学校や、地域の人たちにとって、こういった価値観は、若者たちを将来の地域のリーダーや文化の担い手として導いていく際に非常に重要な役割を果たします。

これは、アラスカ南西部のユピックの人たちの価値観を示したものです。ユピック語と英語両方の翻訳で書いてあります。

こうしてアラスカの先住民族は、子どもたちに教育的、文化的な幸福を与えられる学校運営をいかにできるかアイディアを出し始めました。従来の学校のカリキュラムは、アラスカ州政府教育局が作った学習基準によって定められたので、これだけでは先住民族の生徒たちの総合的な教育には不十分であるということが明らかになってきました。州政府の制度の不備を是正するために先住民族の人は、生徒が家族や地域社会に貢献するには何を学ぶ必要があるのかを総合的にまとめる作業をスタートさせました。この作業は2年間かかっています。1998年に、州政府の学校基準に加えて新しい基準を策定しました。『文化的に責任のある学校のためのアラスカ基準』というものです。

“Place-based Education\” Lecture- Ray Barnhadt 1

442-lRay Barnhardt
Professor of Cross-Cultural Education and Rural Development, University of Alaska Fairbanks
Co-Director, Alaska Rural Systemic Initiative

ALASKA NATIVE KNOWLEDGE NETWORK

The work that I will be describing this evening is an outgrowth of a ten-year educational initiative aimed at helping schools in rural Alaska better serve the needs of Native children and communities.

The work was carried out through the Alaska Federation of Natives in collaboration with the University of Alaska Fairbanks and the Alaska Department of Education with funding from the US National Science Foundation.

I served as one of three Co-Directors for the project, working closely with Alaska Native educators and elders from throughout Alaska.

The most critical contributors on whom this work depended were the Alaska Native knowledge-bearers, such as Cecilia Martz, whom you will be hearing from in a short while, and these Athabascan elders from the village of Old Minto, who have acquired encyclopedic knowledge about the place they have inhabited for millennia.

Since Alaska is made up of many different cultural and linguistic groups (as illustrated on this map), each of which has adapted to a diverse set of environmental conditions ranging from coastal rainforest to Arctic tundra, the task of developing a more culturally appropriate educational system had to take into consideration the particular world view, values and traditions of each cultural region.

「地域に根ざした教育」レイ・バーンハートさん講演内容1

レイ・バーンハートさん
レイ・バーンハートさん

レイ・バーンハート氏
アラスカ大学フェアバンクスキャンパス
多文化スタディ教授
1970年から、先住民教育の調査、研究に従事。多文化教育部長を務めた他、小規模高校プロジェクト、多文化研究センター、多地域間教育プログラム、アラスカ先住民知識ネットワークの立ち上げに関わる。

アラスカ先住民の知識体系

地域に根ざした環境教育は、アラスカでも日本でも、関心をもたれていると思っています。今日は、アラスカ先住民の子どもたちや地域のニーズにあわせて、10年間で教育プロジェクトがどのように発展していったかお話したいと思います。

この取り組みはアラスカ先住民族連盟という団体を通じて行いました。アラスカ大学フェアバンクス校とアラスカ州政府教育局が協力して米国国立科学財団の資金を使って行われました。

このプロジェクトには、私も理事の一人として加わり、アラスカ先住民族の教育者やアラスカ各地の長老たちと緊密に協力して行われました。

このプロジェクトに最も重要な貢献をしてくれたのは、アラスカ先住民族の知識の担い手であるシシリア・マーツさんや、オールドミントという村に住むアサバスカン・インディアンの長老たちです。彼らは、何千年ものあいだ住み続けた土地に対する膨大な知識を身につけています。

地図をみると、いかにアラスカと日本が近いかお分かりかと思います。日本で地震が起きるとアラスカでもそれを感じるくらい近いです。このような自然の地形になっているので、その意味からも、日本とアラスカの人たちで、考えや様々な関心事項を交換できるといいと思います。

この地図でわかるように、アラスカには多くの文化・言語グループがあります。それぞれのグループはそれぞれの環境に適応してきました。沿岸の雨林地帯から北極圏のツンドラ地帯まで環境は様々です。そんな中でそれぞれの文化により適した教育システムを作るためには、その文化地域がもつ独自の世界観、価値観、伝統を考慮する必要がありました。

“Place-ased Educaiton\” Lecture Mike Martz 1

Mike Martz
Senior Producer, KYUK-TV, Bethel Broadcasting, Inc
Board member, the Alaska Historical Society, the Alaska
Moving Image Preservation Association

Sequence from \”To Show What We Know\”

I would like to show a part of video that I made in 1998. Mr. Barnhardt also was involved in this educational project as a co-director. This video shows children from northern area of Kodiak Island who participated in the summer camp learn science and culture together with teachers and elders.
Since Alaska is a huge state, there are various environment. You can see some part of such diversity through this video.

Narrator:
At a camp along a stretch of beach on Afognak Island north of Kodiak, a small group of young children and teachers gathered for a week of sharing and discovery. The beach is called Katenai (COT-TEN-KNEE). The camp, the Academy of Elders/AISES Science Camp, is a cooperative venture of the Kodiak Area Native Association, the Afognak Corporation and the Kodiak Island Borough School District.

Teri Schneider:
The purpose of this camp is first of all to bring together elders with other community members and educators, both teachers and teachers aides, new teachers and teachers that have been in Kodiak a long time along with students.
We bring them together in this outside setting that is so natural for our children to be in and very natural for many of our elders to be in to get that sense of community, of the community in which we live, the community we\’re a part of.
We also are providing the opportunity for the children as well as the teachers to learn first hand from elders and from other community members traditional ways of doing things and the values that go along with that… bringing together the values of our Native people with Western science and the exploration of science as we see it here in Kodiak. We\’d like to stimulate interest in the sciences and technology and mathematics among our kids and the way we do that is to explore our surroundings and explore traditional ways of doing things and show kids the science that in involved in traditional ways of thinking and doing things.

[We see students learning how to start fire with tinder and determining the insulating value of local furs through a temperature experiment.]

Teri Schneider:
We\’d like to be developing curriculum that integrates indigenous ways of doing things, indigenous knowledge, into the current of western science as we know it today.

[We see a student learning the waterproof stitch using seal gut.]

Teri Schneider:
And ultimately we\’d like to explore the rich culture and heritage of the Alutiq people [indigenous people of the Kodiak area] both from the past and also in the present.

[We see a montage of activities from the camp.]

Narrator:
The camp shared the facilities of the Afognak Native Corporation\’s \”Dig Afognak\” archaeological project. This presented the children with an opportunity to see first hand what archaeologists do by actually participating in the excavation work at the dig site.

[We see boys working at the dig site; children working in the \”lab tent\”, a girl using a microscope and a girl working on learning the waterproof stitch with several adults.]

Teri Schneider:
It\’s our desire that the students who leave this camp leave with a framework or even a completed science project so that they will go back to their home village and be able to share that with other students and their own families. Ultimately we want the kids to enter their projects into the rural science fair which will take place here around the district in November [1998]. Everyone I\’ve spoken to here has said that it\’s worth doing. It\’s worth doing at this time of year, during the summer, when we don\’t think of school going on.

[We see children and elders on the beach, doing science project work, checking a fish net, dancing and playing, elders looking on and smiling.]

Teri Schneider:
It\’s worth doing here on a beach like Katenai. It\’s worth doing when we look at the archaeology going on and the science applications that are going on. And when I speak with the elders they say they are very proud of what\’s happening here both as a community building experience and also educationally to see how much their children know. It makes them very proud.

[We see the entire camp group in a large circle dancing.]

Original of this video is for 26 minutes. Students who participated in this camp presented what they have learned in the camp in the Exhibition of Science project. There are several other summer camps and some of them are held in the inland area.

地域に根ざした教育」マイク・マーツさん講演内容

OLYMPUS DIGITAL CAMERAマイク・マーツ氏
ベセル放送局シニアプロデューサー
アラスカ大学異文化教育修士課程修了。各地の高校で言語芸術教師を務めた後、KYUKテレビでディレクター、プロデューサー、制作責任者等、ビデオ制作や放送の分野で活躍

ドキュメンタリービデオ「知っていることを見せること」から

1998年に私が制作したビデオの一部をお見せします。この教育プログラムでは、レイ・バーンハートさんも共同ディレクタ−としてビデオの制作に関わりました。ここに描かれているのは、コディアックという島の子どもたちが教師、長老たちと一緒に参加した、科学や文化をテーマにした夏のキャンプの様子です。
アラスカというと非常に大きな州なので、多様な環境がありますが、このビデオからその多様性の一端を垣間見れるのではないかと思います。

<ビデオの内容>
ナレーター:
コディアックの北にあるアフォグナック島です。その細長い浜辺にあるキャンプに、小さな子どもと教師たちがやってきました。これから一週間共に過ごし、新たな発見をします。この浜辺はカッタニと呼ばれています。このキャンプは、長老科学アカデミーキャンプと呼ばれていまして、コディアック地域先住民族協会、アフォグナックコーポレーション、コディアック島地域学校区の3者が共同で実施しています。

テリー・シュナイダー:
このキャンプの目的は、地域の人たち、ベテラン教師や最近教師になった人、教師のアシスタントなどの教育者を長老たちと引き合わせることです。
私たちは彼らをこのような郊外で引き合わせます。このような設定は子どもたちにとっても長老たちの多くにとってもきわめて自然なことなのです。こうした場所は参加者に、自分たちが暮らすコミュニティの一員としての一体感を育みます。
また、子どもたちや教師たちが、長老や地域の人たちから直に伝統的なやり方や、地域で共に暮らすための価値観について学ぶ機会を提供しています。そうすることで、先住民族の価値観と、西洋科学、コディアックにみられる科学研究を結びつけたりしています。子どもたちに科学技術や数学に対する関心を持たせたいですし、周囲の事柄や、ものごとの伝統的なやり方を探求しながら、伝統的な考え方ややり方と科学が関わりあることを子どもたちに示そうとしています。

[映像:子どもたちが火打石で火をおこしている場面と温度実験による毛皮の断熱効果の測定の場面]
テリー・シュナイダー:
私たちは、この土地に古くから伝わるものごとのやり方や知識を、現代の西洋科学の流れの中に統合させるようなカリキュラムを作りたいと思っています。

[映像:子どもたちがアザラシの腸を使って、防水にする縫い方を学んでいます。]

テリー・シュナイダー:
究極的には、過去と現在のアルーティック民族(コディアック地域の先住民)の豊かな文化と遺産を探求したいと思っています。

[映像:キャンプの様々な活動の紹介]

ナレーター:
キャンプでは、アフォグナック考古学プロジェクトの施設も使います。子どもたちは実際に発掘作業に参加して、考古学者がどのように作業するのか見ることができます。

[映像:男の子たちが発掘作業をしている場面。子どもたちが「実験テント」で作業している場面。女の子が何人かの大人から、防水縫いを教わっている場面]

テリー・シュナイダー:
このキャンプに参加した子どもたちが科学プロジェクトの枠組みを学び、キャンプを終えて自分の村に戻った時に、学んだことをほかの生徒や家族と分かち合うことを願っています。最終的には、(1998年)11月に開かれる地方の科学展示会に子どもたちが自分たちのプロジェクトを出品してくれるよう望んでいます。話した子どもたちは全員、夏休みにこのようなキャンプをするのは価値があると言ってくれました。

[映像:子どもたちと長老が、浜辺で科学プロジェクトを行ったり、魚を捕る網をチェックしたり、踊ったり、遊んだりしている場面。長老たちが微笑んでいる。]

テリー・シュナイダー:
カッタニのようなビーチでキャンプをするのはとても意味があります。考古学調査や、科学の応用をしたりするのに適しています。長老たちは、ここで起きていることを、コミュニティ作りの経験としても、子どもたちが学ぶ様子を見るという教育的な観点からしても、誇りを持つことができると言っています。

[映像:参加者全員が、大きな輪になって踊っている場面]

このビデオは、実際は26分間のもので、その抜粋をご覧いただきました。この夏のキャンプに参加した子どもたちは自分たちの学校に戻ってから、科学プロジェクトの発表会を行い、このキャンプで学んだことを発表しています。これ以外にも夏のキャンプはあちこちで行われています。中にはアラスカ州の内陸で行われているキャンプもあります。

雪の中、高野孝子講演会に60人以上が参加

地球儀を使って北極や南極を示しながら話す高野孝子。
地球儀を使って北極や南極を示しながら話す高野孝子。

高野孝子講演会が、2006年1月21日、東京都港区の施設「エコプラザ」で開かれ、これまでのプログラム参加者を含む多くの人と、地球各地のスライドを楽しみました。

高野孝子の講演会が、1月21日、東京都港区の環境教育施設「エコプラザ」で開かれた。エコプラザの活性化のために、17日から28日まで2週間開かれている写真展に合わせて、開催された。

写真展の会場をそのまま会場に使って、講演会が行われた。関東地方には珍しい雪の中、会場は立ち見がでるほどの盛況だった。
写真展の会場をそのまま会場に使って、講演会が行われた。関東地方には珍しい雪の中、会場は立ち見がでるほどの盛況だった。

当日は朝から雪となり、交通機関も混乱する中、会場には60人を超す人々が集まった。これまでのプログラム参加者やボランティアのみなさん、関係団体のスタッフら、エコプラスに関係する30人余の大人と4人の子どもも参加。旧知の顔を見つけてひさしぶりの会話もはずんだ。

講演では、高野が北極や南極、シベリアなどの極地で撮影した映像のほか、ミクロネシアなどでのスライドを上映しながら、美しい太平洋の島にもプラスチックゴミが流れ着き、汚染物質を排出する工場などが一切ない北極圏に、水銀などの有機化合物が降り注いでそこに住む少数民族の体に日本人をはるかに上回る有害物質の蓄積が起きていることなどを紹介。「海と空気で地球はみんなつながっている」と、それぞれの家庭や地域での行いが地球全体に影響を及ぼしていることを説明しました。

最後に、北極横断時に実際に使った寝袋を広げ、子どもたちに実際に中に入ってもらうと、全員が腰を上げて様子をのぞき込むなど、立体感に富んだ講演会となりました。

写真展は、1月28日まで。
会場に必ずスタッフがいるとは限りませんが、来場者ノートを備えておきますので、ご覧の際はぜひご感想をお残しください。
http://www.ecoclub.org/showart.php?lang=ja&genre=2&aid=262

英国のCenter for Alternative Technologyを見学してきました

センターでは、太陽光、水力、そして風力による自家発電ですべてのエネルギーをまかなっています。
センターでは、太陽光、水力、そして風力による自家発電ですべてのエネルギーをまかなっています。

世界でも有数の「エコセンター」とされる英国のCATを訪ねてきました。いろんな知恵が実際に試されている面白い場所でした。

愛知万博に関連したインタビューで、英国ウェールズにある「Center for Alternative Technology(これまでとは違った技術開発センター)」に行ってきました。持続可能性やこれからの地球社会のあり方に興味を持つ人にはすばらしい学びの要素が詰まった場所でした。機会があればぜひ訪ねることを勧めます。

以前に使っていた巨大な発電用の風車などを使った新しい展示コーナーが建設中です。
以前に使っていた巨大な発電用の風車などを使った新しい展示コーナーが建設中です。

CATは、最寄り駅であるMachynllech(マカンクラフ)の町から北に3マイル(約5キロ)慣れている。私は、自転車を電車に乗せて訪ねることにした。駅のインフォメーションセンターで町の中心部に行くように勧められて向かったが、町並みは駅の南側。再び北上して自転車ルート8号で進む。川沿いの放牧地に舗装された自転車道があり、それをたどって走る。川には魚がパシャと跳ねる音が何度も聞こえる。出来たばかりの自転車用の橋を渡って行くと、向かいの丘の上に巨大な発電用の風車が見える。
その丘に向かう急な坂を最低ギアにして登り、汗だくになって30分ほどかかって森の中に入ると、ようやくそこがセンターの受付だった。
受付からは、クリフレイルというケーブルカーが走っている。高低差70メートルのがけを往復する。下がってきたケーブルカーが着くと同時に、じゃーという水の音が鳴り渡る。つるべのように、二つのケーブルカーの片方に水を入れるとその重みで車が下がり、下につくとその水を吐き出して、上のケーブルカーに今度は水を入れる。その水の重みで次は上の車が下に下がってくる、という仕組みだ。まさに自然の力を使ったケーブルカーだ。

センターに上がると、インフォメーションセンターがあり、全体の説明を聞いたり、オーディオガイドの道具を借りることができる。

センターの歴史を示す10分のビデオ、エネルギーを無駄にしない家の作り方、断熱材として羊の毛やワラを使う壁が実際に作られている。家庭のゴミをどのように処理をするといいかも示されている。

センターの電力は、数百メートル離れたがけの上に置かれた3台の小さな風力発電機と池から流れる水を使った水力発電、それに屋根のあちこちに置かれた太陽光発電セルにより賄われており、その電力を蓄え供給するシステムもガラス越しに見ることができるようになっている。

センターには、スタッフの家族や長期滞在のボランティアが住み込んでおり、現実の生活に活用することができるさまざまな技術技法が生の形で示されているのが面白い。
トイレの手ふき紙もコンポストにされていてその経過を見ることが実際にできる。高さ1メートル近く積み上げられた紙くずが、厚さ10センチほどのたい肥になっている展示などで、さまざまな工夫の力を実感することが出来る。

センターのあちこちから風力発電の羽が回っているのが見えるので、自然エネルギーに目が行ってしまうが、主任農夫のロジャーと話をして分かった。このセンターの目に見えない主役は農業なのだ。人々の命を支える「食」を、ロジャーを筆頭とする農業グループが有機農業を通じて支えている。庭のあちこちに野菜が植えられ、「ロジャーのビニールハウス」と名付けられた場所では、トマトなどの野菜がいっぱい育てられている。このスタッフの3度の食事は無論、見学者向けのレストランの食材も全部自前で作っているのだ。

エコキャビンという18人を収容できる建物が2棟あり、学校などの団体を迎えることが出来るようになっている。屋根は土が置かれて植物が成長していて、断熱効果を上げている。宿泊者はどれだけの太陽エネルギーがキャビンに降り注いでいるのか、どれだけのゴミを自分たちが出しているのか、などを目のあたりにしながら生活を送り、日常生活の自然へのインパクトを学ぶことができるようになっている。

入場料は8ポンド、電車で行く時には事前にCAT入場券と一緒にというと入場料は半額になる。またバスや自転車でセンターに来たことを告げると入場券は割引になる。