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草刈りしながら生き物観察。「清水いきもの復活大作戦・夏の巻」報告

ビオトープの中に発生した藻をかき出す作業。今回初めてやってみました。
ビオトープの中に発生した藻をかき出す作業。今回初めてやってみました。

清水集落での生物多様性保全活動3年目が、順調に始まりました。

7月7-8日の土日、今年最初の「清水いきもの復活大作戦」を実施しました。

このイベントは、南魚沼市清水集落で3年前から開始した、山里の生物多様性保全・教育プロジェクトの一部で、清水集落の人たちと、外からの参加者が一緒に保全活動を行なうものです。
今回は首都圏と地元南魚沼市から学生・社会人あわせて7名が参加し、雨の降るなか、生き物調査や草刈りなどを行ないました。

雨の降る時間が長かったですが、活動終了時には晴れ間が。きれいになった川の周りで集合写真。
雨の降る時間が長かったですが、活動終了時には晴れ間が。きれいになった川の周りで集合写真。

このプロジェクトでは休耕田にビオトープを作った3年前から、保全地域の環境を生き物が住みやすいように徐々に整えていきました。その効果があり、今ではイモリやトンボ、カエルなどが安定して生息するようになってきました。

今回はアドバイザーの深沢さんと共に、どのような生き物が棲息しているか調査しました。木の枝に産みつけられたモリアオガエルの卵や、卵を背負って歩くオオコオイムシなど様々な生き物を見つけることができました。「実は生き物が苦手です」という参加者もいたのですが、次第に「かわいく見えてきた」とイモリやカエルを触っていました。

作業では、盛大に伸びた草の刈り取りと、林の中の散策ルート作りを行ないました。地元の人たちが草刈り機で2メートルほどに伸びたアシを勢い良く刈っていき、参加者はショウブなど、保全したい植物の周りに生えた草をカマで手刈りしました。

2日目後半は、保全地域に隣接した林の中に数百メートルの散策路を作るため、ルート上に伸びた枝を切ったり、移動させたりという力仕事を集中して行いました。

少ない人数で、2日間とも雨の降っている時間が多かったのですが、みなさん調査も作業も楽しみながら積極的に動き、予定通りの活動を終えることができました。

参加者からは、「清水を参考に、自分の地元でもこのような保全活動をやってみたい」「生き物を見つけた時のやった!という感覚が好きで毎回参加している」というコメントがありました。

次回の保全活動は9月8-9日の予定です。

ニホンカモシカやチゴモズなども登場

早朝バードウォッチングで、もっとも絶滅が心配されている「絶滅危惧1A」に分類されるチゴモズを確認。
早朝バードウォッチングで、もっとも絶滅が心配されている「絶滅危惧1A」に分類されるチゴモズを確認。

1日目の夕食や2日目の昼食は、山菜など地元の食材をたっぷり使った手作りの料理が用意され、栃窪の人の自然から恵みを取り出す知恵や技にも触れました。

また、1日目夜は快晴で満天の星空が広がり、流れ星をいつくも見た人もいました。

朝、田植えの直前、集落内に現れたニホンカモシカ。歩道から農道を歩いて森の中に消えていきました。
朝、田植えの直前、集落内に現れたニホンカモシカ。歩道から農道を歩いて森の中に消えていきました。

さらに、2日目の早朝に行われた「生きものプロジェクト」でのバードウォチングにも参加した人は、今は珍しくなったというチゴモズや、集落近くまで出てきたニホンカモシカなども見ることができました。

参加者からは、
「流れ星やカモシカなどが見られてとてもラッキーだった。何気なく見られてしまう栃窪はすごい」
「親子共々、心を開放した楽しい時間を過ごせた」
「普段の都市での生活はすべて人間中心で回っているが、栃窪では自然と共存していることを感じる。定期的にこういった場所に訪れることが必要だと思った」
などの感想がありました。

栃窪の自然の豊かさと、その自然とともに暮らすことを楽しむ1泊2日となったようです。

里なび研修会 in 新潟県南魚沼

研修会のチラシです。クリックすると別ウィンドウで拡大表示されます。
研修会のチラシです。クリックすると別ウィンドウで拡大表示されます。

エコプラスの活動を題材に、生物多様性の保全を進める全国研修会が、新潟県南魚沼市で10月16日に開かれます。
豊かな生き物の世界の復活を目指す「生物多様性保全活動促進法」が10月1日に施行されたのに合わせ、さまざまな関係者が集まって意見交換や現場視察をする「里ナビ研修会」が新潟県南魚沼市で開かれます。全国10カ所で開かれる研修会のトップを切って、エコプラスのこれまでの活動などを題材に議論が交わされます。
テーマ:農山村における学びと保全を促進する交流スタイルの構築

日時:2011年10月16日(日)10時から15時30分

会場:上越国際スキー場グリーンプラサ上越
(新潟県南魚沼市樺野沢112-1)
上越新幹線越後湯沢駅からのバス送迎あり。

内容:
10:00 生物多様性保全活動促進法と地域連携保全活動計画について(里地ネットワーク事務局長 竹田純一さん)

10:15 田んぼの生態系を蘇らせるには(社団法人地域環境資源センター 守山拓弥さん)

10:50 里地里山のコミュニケーションデザイン(NPO法人エコプラス代表理事 高野孝子、清水集落、栃窪集落)

11:10 企業ボランティアと生物多様性保全(NECフィールディングCSR経営推進部長 櫛部健文さん)

11:30 新潟県里地里山に関わる施策と活動計画(新潟県農地部農村環境課 土屋恒久さん)

バスで栃窪集落に移動、栃窪かあちゃんずランチ

13:00 栃窪集落にて取り組み状況視察(生きもの調べ)、計画策定ワークショップ

15:30 終了

参加費:昼食代実費1,050円

申込:
名前(複数の場合全員分)、所属(企業・団体名など)、連絡先(メールかFAX)を以下までお知らせください。(先着申込制。定員80名程度)
メールtappo@ecoplus.jp、電話025-782-5103、FAX025-782-5104(TAPPO南魚沼やまとくらしの学校)

主催:環境省自然環境局
共催:NPO法人エコプラス、南魚沼市
事務局:株式会社 森里川海生業研究所 里地ネットワーク

産卵期を迎え、秋のトンボが飛び交う 清水いきもの復活大作戦・秋の巻

2日間の活動を終えて、全員で集合写真を撮りました。
2日間の活動を終えて、全員で集合写真を撮りました。

新潟県南魚沼市清水で、9月23-24日に今年度3度目となる保全活動を実施しました。首都圏を中心に、12名の参加者と地元の人たちが一緒に、生きものの調査や草刈りを行いました。

2011年9月23-24日に新潟県南魚沼市清水で、清水いきもの復活大作戦・秋の巻を実施しました。首都圏や新潟県内から社会人や学生12人が参加しました。東京学芸大学名誉教授の北野日出男さん、日本自然保護協会常勤理事の横山隆一さん、新潟県立小出高校生物教諭の深沢和基さんら本プロジェクトのアドバイザー全員が両日同行してくれて、充実した2日間となりました。

専門家の説明を受けると、生きものが違った視点から見えるようになります。
専門家の説明を受けると、生きものが違った視点から見えるようになります。

初日は、雨が降り気温14度ほどと肌寒さを感じる天気の中、調査を行いました。去年は見られなかった池にもオタマジャクシが見つかったり、地域によっては絶滅危惧種や準絶滅危惧種に指定されているクロゲンゴロウが見つかったりするなど、新たな発見がありました。専門家の方も、クロゲンゴロウを見つけたことに対して「感動した」「フィールドで見たのは14年ぶりだ」などと話していました。
望遠鏡を持ってきた参加者に誘われて、夜には外に出て15分ほど星空観察をしました。雲の切れ間に天の川を見ることができました。

2日目の早朝には、清水集落の近くのブナ林まで、横山さんと散策に行きました。早起きの甲斐もあってか、モズやホオジロ、イカルなどさまざまな鳥の声を聞くことができました。
午前中の活動では、地元の方からカマの使い方を教わりながら、草刈りをしました。9時頃には晴れ間が見え始め、生きものたちがどんどんと姿を現すようになりました。前日には見られなかったルリボシヤンマが勢い良く飛ぶ姿や、アキアカネの産卵シーンを見ることもできました。
前日に比べて気候条件が良くなり、バッタやチョウ、トンボやカマキリなど、たくさんの生きものが活発に活動する様子を見られたことで、「自然の奥深さを感じた」という声が聞かれました。

今年度、参加者とともに行なう保全活動は今回が最後です。これから看板作成や、来年度に向けた調査のまとめをしてきます。

【参加者の感想】
・台風などがあると都会でも自然について考えさせられるが、ここでは自然に合わせた生活を学べる。また来たい。
・実際に生きものを目で見て触れると、直接訴えかけてくるものがある。日常の仕事では感じられないことがたくさん感じられて、すごくリフレッシュになった。
・(崩れ落ちた橋や山、道路などを見て)集中豪雨の影響は、本当にすごかった。このまま大雨が続いていくと、どうなってしまうのだろう?と思った。

【清水の人たちからのコメント】
・秋になって、クルミやサルナシなど食べられるものが多くなっていた。前回との生きものの変化が印象に残った。
・都会の人が清水に来た時に、リフレッシュできる場所にするのが自分の目標。来年は看板を作って、虫や植物が分かるようにしたい。
・清水にはビオトープだけでなく、古道や歴史もある。みなさんと広げながら、より良い魅力的な清水を作っていきたい。

★プロジェクト専用ウェブサイトもあります!
http://ikimono.ecoplus.jp/top.php?lang=ja

保全地域の変化の様子や、清水の人たちからのコメントなどを掲載しています。

見たことのない生きものとの出会いに感動!〜清水いきもの復活大作戦・夏の巻〜

首都圏からの社会人や学生に加え、地元南魚沼や新潟市内からの参加者計10名が、専門家や地元の人たちと一緒に生物多様性の保全活動を行いました。

今年2回目となるいきもの復活大作戦が、7月23-24日に新潟県南魚沼市清水で行われました。今回は草刈りや木道作りなどの作業だけでなく、専門家と一緒に調査をしたり、地元の人から柴木造りを教わったりしました。

今回は、プロジェクトアドバイザーの(財)日本自然保護協会常勤理事の横山隆一さんと新潟県立小出高等学校教諭の深沢和基さんが2日間一緒に活動してくれました。専門家の鋭い視点や生きものに関する深い知識に触れ、参加者や地元の人たちがたくさんの学びや気付きを得る機会となりました。

西谷後の池を調査している様子。池の中の黒い斑点は、オタマジャクシです。
西谷後の池を調査している様子。池の中の黒い斑点は、オタマジャクシです。

初日の午後は、「西谷後」という保全地域の調査と草刈りを行いました。調査の中で、初めてシャチホコガの幼虫が見つかりました。体を反り返し、成虫さながらに発達した細長い足を広げる珍しい姿に、皆が驚いていました。草刈りでは、人間の身長を優に超すほどに背の高いアシや1mほどまで伸びたススキなどを刈りました。来た時にはうっそうと茂っていた草も、見違えるほどにきれいに刈られ、歩きやすい保全地域となりました。
夕食後の交流会では、地元の人の地域活性化に対する情熱に触れる機会がありました。参加者からは「どんな思いでプロジェクトに関わってくれているのかが分かり、心に響いた」「町を変えていきたい!という思いが聞けて良かった」という声があがりました。

木で木を縛る「柴木造り」。参加者も挑戦しましたが、地元の人の技には敵いません。
木で木を縛る「柴木造り」。参加者も挑戦しましたが、地元の人の技には敵いません。

2日目は、朝6時から集落散策に出かけました。電線の上に止まって鳴き続けるホオジロや羽化したばかりのエゾゼミ、スギの木のてっぺんにとまったアオサギ、民宿付近のガマ畑などさまざまな生きものを見つけ、観察しました。
2日目の調査と作業は、「大明神」というエリアで行われました。サンショウウオの幼生や、水を飲みに集まるミヤマカラスアゲハ、ハッチョウトンボなどが確認できました。照りつける太陽の下、周りでオニヤンマ、ルリボシヤンマ、シオカラトンボ、アキアカネなどたくさんのトンボが飛び交う中、草刈りや木道作りの作業を進めました。

今回の活動を通して、参加者からは、「すべてにちゃんと名前があり、ただの『カエル』はいないことが分かった」や「今までは食料にならない物には興味がなかったが、色々な生きものを見て2日間楽しめた」など、興味の幅が広がったという声や、「また来たい」「活性化を手伝いたい」などの清水を今後も応援していきたいという声が聞かれました。

次回の活動は、9月23−24日の秋の巻です!

*このプロジェクトは2011年度経団連自然保護基金支援事業です。

様々な生きものとの出会いに興奮!清水いきもの復活大作戦・2011初夏の巻

首都圏の会社員や学生、親子連れなど11人が、6月4-5日に新潟県南魚沼市清水地区で、今年度1回目の保全活動を行いました。専門家や地元の皆さんと共に、木道作りや草刈りなどをしました。
新潟県南魚沼市清水地区で、清水いきもの復活大作戦・初夏の巻が6月4-5日に開催されました。小学生から定年後の方まで、首都圏などから幅広い年齢層の11人が参加してくれました。
2年目となる今年度は、散策ルート作りのために木道を伸ばしたり、季節ごとに清水で見られる生きもののリストを作るために、丁寧に調査をしていくことが目標です。今回は、そのために専門家と一緒に生きものや保全地域の現状を観察をし、保全のための木道作りをしました。最後には、地元の方と共に、今後の保全活動をどう進めるかについても話し合いました。

今回は、アドバイザーとしてプロジェクトに関わってくださっている(財)日本自然保護協会常勤理事の横山隆一さんも参加してくれました。

1日目の午後は、保全地域の「大明神」で観察・作業を行いました。
昨年の活動で作った池では、シュレーゲルアオガエルやアカハライモリ、オオコオイムシなどさまざまな生きものをすぐに見つけることができました。専門家による丁寧な解説により、地元の人も参加者も、どんどん生きものの世界に引き込まれていきました。「カエルは嫌いだったのに、思わず手が伸びた自分に驚いた」と話してくれた参加者もいました。
地元の方たちが一番驚いたのは、トウホクサンショウウオの卵塊と幼生が見つかったことでした。池の中に浮かぶ「まが玉」のような形をした透明な卵塊の中で動く小さなサンショウウオの様子には、清水の人たちも「初めて見た」「興奮した」と口々に驚きを現していました。

木道作りの様子
木道作りの様子

その後の保全作業では、長さ1.8m、幅10〜20cmほどの木材を組み合わせて、木道を作っていきました。地元・清水の方々の指導のもと、参加者はカナヅチやノコギリなど工具の正しい使い方を習いました。深い所にはまると、長靴すべてが埋まってしまうほどぬかるんだ道も、木道を設置することで、安全に歩けるようになりました。

2日目の朝は、横山さんと一緒に登川の辺りを散策しました。電線の上で鳴いているホオジロが自分のなわばりを主張するために鳴いていること、ムクドリは一番高い木を選んで止まっていることなど、鳥を見つけるたびに習性を説明していただきました。川に出るまでには、大人の腰の高さまで育ったシダ植物がうっそうと茂り、倒れた木々にはコケが生しているジャングルのような道を歩き、保全地域とはまた違った植生を楽しめました。

午前中の活動では、前日に引き続いて大明神で3つのグループに分れて作業。草刈り部隊、木道を延長していく部隊、モリアオガエルの産卵に適した池を作る部隊がそれぞれに活動をし、保全地域の整備にあたりました。
約2時間の作業の末に、運んで来たすべての材木を使い切り、木道作りを終えました。2日間で作った木道は、全長160m以上となりました。

集合写真
集合写真

ふりかえりでは、地元の方と一緒になって、清水の生態系を守っていくために、また、清水の生物多様性を地域活性化につなげるために、どのような働きかけができるかを考えました。
「地元の人が案内人になって、生きものの説明や、観察の仕方を伝える」「情報公開のルールを明確化する」など、多様な意見が出ました。

清水の方からも、「今後も保全地域の近くの杉林の枝打ちをしたり、木道を伸ばしたりして、環境整備を進めていきたい」「新たな生態系が見つかるたびに感動があるように、たくさんの人との出会いを楽しみにしている。ぜひまた来てください」とのお話がありました。

普段は見ることのできない豊かな自然を満喫しながら、泥と汗にまみれた二日間。いきもの復活大作戦2011も、いよいよスタートしました。
次回は7月23−24日に行われる夏の巻です!

*このプロジェクトは2011年度経団連自然保護基金支援事業です。

初冬の水辺の生きものの様子を観察 12月のいきものプロジェクト

2010年12月5日(日)のいきものプロジェクトでは、同じ場所にある3つの池などで生きものを調べました。池ではそれぞれ見つかる生きものが異なり、少しずつ違う環境になっていることがわかりました。
12月5日(日)に、南魚沼市栃窪集落で今年最後の「栃窪いきものプロジェクト」が行われました。小出高校教諭の深沢和基さんを講師に、集落内外から参加した16人が、池や山の林などで生きものを観察しました。
毎年12月上旬は数センチの積雪がありましたが、今回は雪もなく暖かで、あちらこちらにアキアカネが飛んでいました。

アカハライモリのオスとメス。続けて参加している子どもたちは区別がつくようになりました。
アカハライモリのオスとメス。続けて参加している子どもたちは区別がつくようになりました。

前回イモリがたくさんいた、清水が流れ込んでいる池には、ヤゴやマツモムシ、トビケラの幼虫がいて、イモリはすぐ近くの別の池にいました。同じ池に、越冬するオタマジャクシもいました。また別の池ではコオイムシ、というふうに、池ごとに見つかる生きものが違いました。「地図上では同じ場所でも、少しずつ環境が異なり、生きものが住み分けている」「イモリは移動したのだろう。この後冬を越すためにさらに移動するかもしれない」と、深沢さんが説明しました。

大きなキノコを見つけたよ!
大きなキノコを見つけたよ!

山の林では、くさった倒木のところどころから、いろいろなキノコが出ていました。ナメコ、ヒラタケ、ムキタケなど食べられるもの以外に、器状の形のヒイロチャワンタケなど珍しい形のキノコも観察しました。林の地面には落ち葉が積もり、傾斜がある場所は足元がすべりやすく、木の枝につかまるなどしながら慎重に進みました。

ふりかえりでは、印象深かったことや生きものの名前などを、参加者全員が話しました。「季節ごとに生きものの様子が変化していて勉強になった」「前回と違うところにイモリがいた」「同じ場所でも環境が違っているということがわかった」などの感想が聞かれました。
深沢さんは「生きもののつかまえ方や、どんなところにどんな生きものがいるかなど、覚えていてほしい」と呼びかけました。

栃窪いきものプロジェクトは、来年も引き続き実施される予定です。

アカハライモリ続出。11月のいきものプロジェクト

2010年11月6日(土)の生きもの調べでは、清水が流れ込む池でアカハライモリを9匹捕まえました。これまでで最も多い数でした。
11月6日(土)に、南魚沼市栃窪集落で「栃窪生きものプロジェクト」が行われました。講師は小出高校教諭の深沢和基さん。「田んぼのイロハ」参加者を含む21人は、秋晴れの空に紅葉した木々の色が美しく映える景色の中、池や林の中で、それぞれに生きものを探し、観察しました。

面白いように見つかったアカハライモリ。
面白いように見つかったアカハライモリ。

清水が流れ込んでいる池では、子どもたちが網で次々に泥をすくい、アカハライモリやヤゴ、マツモムシなどを見つけました。特にアカハライモリは9匹と、今年最多記録でした。子どもたちは、オスとメスを見比べたり、個体の色の違いを批評したりしていました。
前回まで何匹も観察できたクロサンショウウオの幼生は、今回は1匹しか見つかりませんでした。深沢さんは、前回エラがなくなりかけていたものなどが大人になり山に移動したからだ、と説明していました。
周辺には、キアゲハやスズメガの幼虫、ヤマアカガエル、アマガエルなどもいました。

山の中では落ち葉の間からキノコが顔を出していました。写真は薄紫色の「ムラサキシメジ」。食べられるとのこと。きれいな色が返って毒々しい印象。
山の中では落ち葉の間からキノコが顔を出していました。写真は薄紫色の「ムラサキシメジ」。食べられるとのこと。きれいな色が返って毒々しい印象。

40分ほど歩いた山の林では、積もった落ち葉の中からキノコを見つけました。表も裏もきれいな薄紫色の「ムラサキシメジ」、軸を折ると出てくる液で手が赤く染まる「チシオタケ」、指でカサを押すと真ん中の穴からけむりが出る「ケムリタケ」など。
参加者の何人かは、チシオタケの軸を折り、どんな液が出てくるのか試していました。

地元の子どもたちは、「エラがついたサンショウウオの幼生は、寒くなってきたのでもういないかと思っていた」「紫のキノコが珍しかった」などと感想を話しました。
首都圏からの参加者は、「身近にあって気づかなかったものも、関心を持つと見えてくるのだと感じた」「自然の中に自分を置いた、という感覚がとてもよかった」と話していました。

次回は12月5日(土)午前9時からです。冬の生きものたちの暮らし方やその痕跡を探ります。

クロサンショウウオの成長過程を観察。10月のいきものプロジェクト

2010年10月17日(日)の生きもの調べでは、クロサンショウウオの幼生の、エラがあるものとないものを観察し、成長の段階の違いを見比べました。
10月17日(日)に、南魚沼市栃窪集落で「栃窪生きものプロジェクト」が行われました。講師は小出高校教諭の深沢和基さん。集落内外から13人が参加し、清水が流れ込んでいる池や毎回観察しているスイレン田んぼ、山の林の中などで、生きものの観察を行いました。

出発前に、深沢さんが近隣の地域で見つけた、ルリタテハというチョウの幼虫や、ツクバネという植物の実を見せてくれました。ツクバネは羽根つきの羽根と同じ形で、落とすとクルクル回ります。子どもたちは何度も放り投げて、回りながら落ちる様子を楽しみました。

池の泥をどんどんすくう子どもたち
池の泥をどんどんすくう子どもたち

池では泥を網ですくって生きものを探したところ、クロサンショウウオの幼生、アカハライモリ、ヤゴ、アカムシなどが次々と出てきました。
クロサンショウウオの幼生には、ウーパールーパーのようなエラがついているものと、ついていた形跡が少し残っているものとがいました。深沢さんによれば、エラが完全になくなると池から山に移動するそうです。

他には、イナゴ、茶色いケムシ、ツチガエル、トノサマガエルと思われるカエルなどがいました。

続いて訪れたスイレン田んぼでは、ミズオオバコの花がきれいに咲いていましたが、夏に見かけたタヌキモは見られませんでした。

15分ほど歩いた山の林では、お目当てのツクバネは見つからなかったものの、ホコリタケという、袋状になったカサの脇を押すと真ん中にある穴からけむりが出るキノコや、スギヒラタケ、スギエダタケなど、キノコをたくさん見つけました。シュレーゲルアオガエルのオスとメスも観察できました。子どもたちは特にケムリタケが気に入った様子で、みんな必死になって探しまわっていました。

エラだったと思われる突起が残るクロサンショウウオの幼生
エラだったと思われる突起が残るクロサンショウウオの幼生

最後のふりかえりでは、クロサンショウウオの幼生のエラがあるものとないものを見比べたことが楽しかったという意見や、寒くなっても生きものをたくさん観察できたことなどが印象的だったという感想が寄せられました。

次回の生きもの調べは11月6日(土)13時からです。

‘10生きものプロジェクト第3回報告

7月31日(土)、生きもの調べが行われました。スイレン田んぼや側溝、沢、ため池などで生きものを観察しました。
7月31日(土)に、南魚沼市栃窪集落で今年度3回目の「栃窪生きものプロジェクト」が行われました。気温31度と、立っているだけで汗ばむ暑さの中、村内外から17人が参加しました。小出高校教諭の深沢和基さんを講師に、集落内を散策しながら生きものの観察を行いました。

清水が流れ込むため池で次々に見つかった、サンショウウオの幼生やオタマジャクシ。イモリもいました。
清水が流れ込むため池で次々に見つかった、サンショウウオの幼生やオタマジャクシ。イモリもいました。

今回は、毎回観察しているスイレン田んぼの他、神社近くの沢、清水が流れ込んでいるため池などで生きものを観察しました。昨年たくさんの数を確認していた水生植物の花が少ししか見られず、講師の深沢さんは「どうして今年少ないのか理由はわからない。天気がよくなかったのか。水面にアオミドロが繁殖して光が届かなかったこともあるかもしれない」と話していました。
ため池では、オタマジャクシやサンショウウオの幼生を観察しました。大きなヤマアカガエルやトノサマガエルと思われるカエルもいて、深沢さんは「カエルのような弱い生きものが大きいことが栃窪の自然の豊かさだ」と説明しました。
また、ため池の周辺では様々な種類のトンボも観察することができました。小学生の頃トンボの研究をしたという村の人がルリボシトンボを網で捕まえてみせると、子どもたちは「トンボが捕まった!」といっせいに集まり、熱心な様子で観察していました。
移動中は、セミやトンボの様々な大きさの幼虫の抜けがらをいくつも発見し、子どもたちは手のひらに山盛りに集めていました。それを見た60代の村の男性は、ふりかえりの際「子どもの頃、今の時期の通学時は、ため池がある家の外壁にヤゴがたくさん羽化しているところを見た。今日もそういうものが見られるかと思ったが、羽化の途中のものはいなかった」と話していました。

カナヘビを捕まえた村の子どもたち。
カナヘビを捕まえた村の子どもたち。

他に、ふりかえりでは「ヤゴの抜けがらを見つけて楽しかった」「サンショウウオの多さにあらためておどろいた」などの感想や、「カエルは生きている虫しか食べないのか」などの質問もありました。質問について深沢さんは、「動いているものをエサとして認識するため、生きている虫を食べることになる」と答えていました。