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毎日の暮らしにある「民主主義」

南魚沼市で校長、市会議員、町づくり関係者らを相手に話すヘイワードさん

国際シンポジウムのために日本を訪れているニュージーランドの政治学者ブロンウィン・ヘイワードさんが、2017年1月19日、新潟県南魚沼市で、教育や行政、地域おこし関係者約40人を前に、「グローバリゼーションと地域」を講演し、意見を交わしました。

ヘイワードさんは、2011年にニュージーランドのクライストチャーチを襲い死者185人を出した震災をきっかけに、大学生たちがボランティアとして復旧活動に精力的に立ち向かったことなどを題材に、「民主主義とは、何年かに1回の投票をしたらそれで終わるのではなく、毎日の暮らしをよりよくするために、日々仲間と対話し行動していくことが大切。毎日がデモクラシー」と強調しました。

ヘイワードさんは、地震や洪水などの自然災害が相次ぐニュージーランドと日本の類似性を指摘。また多くの地方で、過疎化が急速に進んで、さらに高齢化も進んでいるのも共通点だと指摘しました。ニュージーランドでは、若者の投票率の低下が示され、自分たちはだれからも相手にされていないという不満と怒りが渦巻いていると話しました。

大学生たちによる地震の後の片づけ作業

この孤立感を深めていた若者たちが、クライストチャーチの地震をきっかけに、最初は大学生たち約100人がボランティアとしてがれきの撤去などに加わり、その輪は24,000人にも広がって、学生ボランティア行動隊(Student Volunteer Army)と名乗る組織にまで発展し、撤去だけでなく高齢者の支援活動などに乗り出したそうです。

一方で行政当局は、この学生を始めとする市民の声を聞くことなく、見た目の復興を進め、市民らとの間にギャップが生まれたといいます。

ヘイワードさんは、この若者たちの参画のプロセスにこそ民主主義があり、グローバル化が進む中での若者を市民になる支援策があるのだと強調しました。

ヘイワードさんは、クライストチャーチのカンタベリー大学で政治・国際関係論の学部長を務めています、南西に隣接するアッシュバートン市は南魚沼市の姉妹都市となっていて、ともに農業を中心とする過疎地でもあります。ヘイワードさんは、姉妹都市の関係を活かした人的交流、南魚沼特有の雪やコシヒカリを題材としたインターンプログラムの設定、学校同士、シニア大学同士のオンライン交流など、具体的な可能性を次々に提案。最終的には一人ひとりの人間同士の関係が、グローバリゼーションの中での持続可能な社会につながるのではないかと締めくくりました。

絶え間ない意見交換が続きました

この話を受けて、会場では活発なグループ討議が展開され、「地域を知ることの重要性」「違いを認める力」「若い世代の居場所づくり」「子どもと若者が活躍する場作り」などが議論されました。

民主主義とは、お堅い制度上のものではなく、日々の暮らしを良くする一つ一つの対話そのもの。自分たちの足元を見直し、巨大なグローバル経済と危機的な気候変動などの環境問題を視野に入れて、一つ一つの歩みを進めるのだ、という説明は、とても自然で理解しやすいお話でした。

ヘイワードさんらが加わる国際シンポジウムは、1月21日、22日に東京の立教大学と早稲田大学で連続して開かれます。

2016年ヤップ島プログラムの報告会が開かれました

報告会終了後の集合写真。参加者が手にしているのは、同行したスタッフが手織りした木綿の布を使った修了証です。
報告会終了後の集合写真。参加者が手にしているのは、同行したスタッフが手織りした木綿の布を使った修了証です。

2016年のヤップ島プログラムの報告会が、11月13日午後、東京都千代田区の神田公園区民館で開かれ、参加者や家族、知人、関係者ら20数人が、現地の自然や暮らしだけでなく、自分自身の生き方を一緒に考える機会となりました。

午後2時前からの報告会では、前半に全体的な活動報告、後半はそれぞれがどのように感じたのかを報告する形で進行しました。

ヤップでの毎日の料理の報告。鍋いっぱいのカニ料理も。
ヤップでの毎日の料理の報告。鍋いっぱいのカニ料理も。

活動報告では、ヤップ島の場所、自然、海の様子、魚取りやカニのさばき方、毎日の食事や、ヤシの使い方、日本との関係などが幅広く紹介されました。中でも現地の暮らしを象徴するヤシについては、実は青いうちはジュースになり、乾燥してくるとジュース分が固まった胚乳を削ってココナツミルクにして料理に使うなどの使い方が、イラストなどを使って分かりやすく説明されました。

個人報告では、ほとんどの参加者が現地の人たちの優しさや、島の暮らしの豊かさをあげ、心の深いところでの感動を受けたことが伝わってきました。

「星空の美しさと、ホームステイをさせてもらった家族の優しさに感動した」

「人と自然の近さ、人と人のつながりの深さを感じた」

「時計にしばられない暮らし方。日本にも世界にも広がればいい」

「日本では見えなくなっているけれど、食料ひとつをとっても、どこかでだれかに私たちは支えられている、ということを改めて感じた」

現地の環境問題や社会のあり方にも視点が広がっていきました。

「海沿いの家庭に滞在させてもらったとき、自分のシャンプーの混ざった水、洗剤が混じった洗濯水がそのまま海に流れ込んでいくのを見た。日本でもどこかで起きているはずのことが、ヤップでは目の前で起きていた」

島の中心部にあるゴミ処分場。多くのゴミが山積みされている。
島の中心部にあるゴミ処分場。多くのゴミが山積みされている。

「ダンプサイト(ゴミ処理場)を見学したとき、驚く、それに対して何もできない自分の無力さを感じた」

「伝統的なグラススカート(草や樹木の皮の繊維でできている)を作れる人が集落に1人だけになっていた」

「今回現地ではスマホやカメラを使わないとみんなで決めた。画面越しではなく、目の前のことに本気で向き合う生活はよかった。絵を描き、日記をいっぱい書いた。これからも五感を使って目の前のことに向き合っていきたい」

弁論大会や部活動の試合で出席できなかった参加者たちからの発表も、他の参加者が代読する形で報告されました。

それぞれの参加者にとって、これからの人生に残る、大事な宝物になったことが感じられる報告会でした。