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やまざとワークショップに、首都圏などから45人

標高900m前後の山の中で、間伐した樹木にキノコのコマ打ち作業をする参加者と地元のみなさん。細いほだ木を想像していた首都圏からの参加者らは木の太さにびっくり。
標高900m前後の山の中で、間伐した樹木にキノコのコマ打ち作業をする参加者と地元のみなさん。細いほだ木を想像していた首都圏からの参加者らは木の太さにびっくり。

新緑と残雪がまぶしい山の中で、都会と地元の人々が一緒に日本の地域社会を考える「やまざとワークショップ」が2008年5月5、6の両日、新潟県南魚沼市清水地区で開かれました。

戸数19にまで減り、さらに過疎・高齢化が進行する新潟県南魚沼市の清水集落を舞台に、2008年5月5、6の両日、清水地区が主催する「やまざとワークショップ」が開かれました。

南魚沼地域全体が、中越地震の影響もあって、経済活動が停滞し、若者らが都市に流失。その一番のしわ寄せは山奥の集落に押し寄せています。

講師の広瀬敏通さんの講演と実際の作業を経た参加者は、限界集落に近づきつつある清水集落の将来をどうすればいいのか、地元のみなさんと一緒になって議論しました。
講師の広瀬敏通さんの講演と実際の作業を経た参加者は、限界集落に近づきつつある清水集落の将来をどうすればいいのか、地元のみなさんと一緒になって議論しました。

南魚沼市の中でも最も高齢化率の高い清水集落は、すでにお年寄りだけの単身世帯も増加し、村の機能を維持する共同作業の負担が高くなってきています。

まさに「限界集落」になろうとしている集落を、どうすれば活性化できるか。講師に日本エコツーリズム協会の広瀬敏通代表理事を招き、首都圏などから計31人が参加。地元のみなさんらと一緒に、全部で計45人が2日間に渡って、語り合いました。

広瀬さんは、講演の中で「エコツーリズムが日本各地で地域社会を元気にさせる試みとして展開され始めている。大切なのは、人の輪。いかに自然や人情がよくても、その地域が仲が悪く、他人の悪口を言い合っていてはいけない。仲良くすることが一番大切」などと、具体的にアドバイスをしました。

さらに、「日本社会全体が、もの作り社会から、非もの社会に移行しつつあり、エコツーリズムなどのこれまでとは違った新しい観光が産業の柱になる。その中で、清水型の事業をどのように組み立てるかが課題。ここにしかないものなどない、と思うのではなく、ここにあるものを大事にするということが大切」などと話しました。

2日目には、地元のみなさんが「味が違う」という山奥でのナメコ栽培を広げるための作業に取り組みました。用意されたナメコ菌が植えられた木のコマは15,000。これを間伐したサワグルミの太い幹に次々と穴をあけ、打ち込んでいきました。

百名山の一つである巻機山(1,967m)の山頂付近には真っ白な残雪が光り、その下には芽吹き始めたブナの緑が鮮やかです。作業現場も一部は50センチ近い雪が残り、雪どけの鮮烈な流れの脇で、参加者は地元の人と一緒になって、作業に打ち込みました。

最後の意見交換では、「『ナメコ山』と命名して活性化のシンボルにしよう」「キノコが実際に出てくる来年の秋が楽しみ」「都市の人々が山村留学できるようにしては」などの積極的な意見が相次ぎ、地元のみなさんも改めて山里が持つ魅力を見直していました。

この催しは、エコプラスが企画・運営を担当しており、8月2、3両日には、地元の火渡り神事の準備段階から参加。また厳冬期の来年2月には単身高齢者宅の除雪作業を実施する予定です。いずれも、単なる体験を超えて、地域社会の実際に触れその輪の中に参画することを通じて、最終的には日本や世界全体の持続可能性について考えることを目指しています。

すでに今回の参加者のみなさんの間では、「清水ファンクラブ」準備会が始まりました。

清水集落や南魚沼地域でのエコプラスの活動に興味をお持ちの方は、TAPPO 南魚沼やまとくらしの学校(tappo@ecoplus.jp、025-782-5103)まで。