全国各地からの100人近くが「地域に根ざした環境教育」を議論

2012年1月21日、東京・池袋の立教大学で、米国のグレッグ・ス

基調講演するグレッグ・スミスさん
基調講演するグレッグ・スミスさん

ミスさんを特別ゲストに国際シンポジウム「地域にどう根ざすか」を開きました。

 

会場となった立教大学の太刀川記念会館ホールには、外国籍の方も含め幅広い方々が集まりました。
会場となった立教大学の太刀川記念会館ホールには、外国籍の方も含め幅広い方々が集まりました。

米国オレゴン州のルイスクラーク大学大学院で「Place- and Community-Based Education」について研究を行っているスミスさんが、冒頭の基調講演を行いました。

スミスさんはまず、「現代社会での脱地域性(placelessness)、場と社会の遊離は、世界中の現象になっている。あらゆる国で、自然や伝統から切り離されたグローバルカルチャーというべきものが増殖し、若い世代には足元のことをふり返らない傾向が強まっている」と指摘。

この傾向はすでに50年以上前に、アメリカの思想家デューイによって「最大の悲劇(the great waste)は、学校という存在が、子どもたちを学校外から、そして暮らしから切り離していることだ」と表現していたと説明しました。

その上で、アメリカ各地で広がっている、地域社会と学校を結び付け直す試みを紹介。地域の喘息患者がほかの地域より多いことを見つけた高校生たちが、大型自動車の排ガスが原因であることを知り、大気汚染を自分たちで調べ、環境浄化作戦を立て、地域にあるスクールバスのセンターでの250台のバスのアイドリング時間を減らすなどの対策を訴え、ついにはバスの燃料を軽油から天然ガスに変えた(マサチューセッツ州)など、地域の課題に取り組むことで、若者が地域社会の自然、環境、社会、伝統を学び、地域社会の一員となって動けるようになったことを説明しました。

これを受けて、エコプラスの高野孝子代表理事が、日本と世界での地域に根ざした学びの流れについて、全体像を説明しました。

高野代表は、日本でも明治から大正にかけての時期から、地域に着目した学びが取り組まれてきたことを紹介。「土の教育」「郷土教育」などがあり、戦後には公害教育を経て、環境教育が登場するものの、社会教育と学校教育は切り離されたまま、地域は学びの背景に引っ込んでしまったと説明しました。

午後からは、立教大学の阿部治さん、東京学芸大学木俣美樹男さん、出羽三山の自然を守る会の佐久間憲生さんが、国内での事例を紹介。

最後のパネル討議には、埼玉大学の安藤聡彦さんがモデレータで、くりこま高原自然学校の佐々木豊志さんとスミスさんがパネラーとして参加。会場との間でのやりとりもしながら、地域と教育に関しての活発な意見交換が行われました。

シンポジウムの模様は、以下のサイトから動画で見ていただけます。
(グレッグ・スミスさん基調講演)
http://www.ustream.tv/recorded/19895067

(地域に根ざした教育のビデオ一覧)
http://www.ustream.tv/channel/地域に根ざした教育/videos/2
http://www.ustream.tv/channel/地域に根ざした教育/videos