季節の移ろいがはっきり・・・田んぼのイロハ収穫祭編

朝のまぶしい光の中で、伝統的な三本ぐわを使って、来年に向けた田起こし作業をしました。
朝のまぶしい光の中で、伝統的な三本ぐわを使って、来年に向けた田起こし作業をしました。

10月31日~11月1日に新潟県南魚沼市栃窪集落で、今年最後の休日農業講座「田んぼのイロハ」が開かれ、見事な青空と紅葉のもとで、地域の皆さんと収穫を祝いました。

田んぼのイロハ収穫祭編に参加したのは、首都圏の会社員や学生計6人。3週間前の稲刈りに参加した人も多く、雪をかぶった越後三山や見事に色づいた集落の光景に、季節の移ろいを実感した週末となりました。

鮮やかな黄色や赤に染まった集落のシンボル「樽山(たるやま)」を背景に、村人と来訪者が語り合いました。
鮮やかな黄色や赤に染まった集落のシンボル「樽山(たるやま)」を背景に、村人と来訪者が語り合いました。

地元酒蔵の見学、来年へ向けた田おこし、そして地元民が秋の実りを祝う収穫祭へ参加しました。

初日は、時折通り雨が降る天気。
最初の座学では、地元営農組織の「パノラマ農産」社長の笛木晶さんから今年の稲作の振り返りを聞きました。

今年は1割から2割収穫量が少ないということでした。原因は、お盆後の低温と秋の長雨、日照不足。実りの時期の天候に恵まれなかったことで、集落のほとんどの田の収量が落ちたとのことでした。このため、農協の買い上げ価格は1俵(60キロ)あたり去年より2,000円高い18,000円程度に上昇。しかしコメ自体が足らないので、売ろうにも売るコメがないという状況になっているのだそうです。

午後2時ごろからは集落散策。集落のすぐ後ろにそびえる樽山(756m)のそばまで行き、切り立った斜面の紅葉を眺めながら田んぼや自然の話を聞きました。

その後は、今回の少人数を活かした特別プログラムで、地元鶴齢酒造の酒蔵見学をさせてもらいました。コメのもう一つの使い方である日本酒の世界を、じっくり見させてもらいました。

高さ4mもある巨大なタンクの上から、泡をぼこぼこと出しながら発酵が進む様子を見て、参加者一同はびっくり。コメを洗い、蒸し、こうじを育て、酒に仕上げていく、いくつもの工程。山田錦や五百万石といった異なる酒米を使い、吟醸酒や純米酒という違った商品を目指して、同時並行で工場内のあちこちで進められていることにも、「すごい」と驚きの声を上げていました。

夕食後の地元のみなさんとの交流会でも、用意されたさまざなな日本酒を飲み比べ、コメに支えられたお酒の世界に思いを広げました。

2日目は、8時半に集合。まぶしいばかりの朝日の中で、イロハ田んぼの田起こしをしました。3本のツメがついた「三本ぐわ」を稲の切り株に向かって振り上げて、突き刺さった場所から株ごと土をひっくり返します。単純な作業ですが足元はぬかるみで不安定で、初めての人にはかなりの肉体労働でした。
振り返ると山々の紅葉などが広がっていて、絶景の中での作業をみんなで楽しみました。

11時ごろから集落センター前のひろばで村人たちとの収穫祭。笛木さんらが臼と杵でもちをつき、地元野菜がたっぷり入ったけんちん汁や新米おにぎりが用意されました。子どもからお年寄りまでの村の総勢50人前後に、イロハの参加者も加えてもらって、話を交わす収穫祭となりました。

今回の参加者からは「稲刈りの時とは家の様子や風景などが変わっていて季節の移り変わりを感じた」「田おこしをしながら来年も良いお米になってほしいと思った」などの感想がありました。

今回で2015年の田んぼのイロハは終了です。これからは3~4メートルほど雪が田んぼの上に積ります。春、雪が解けてまた作業が始まるまで6カ月。来年度も田んぼのイロハは続きます。ご参加、お待ちしています。