野外体験で、子どもたちは大きく解放される

 野外での活動をすることで、子どもたちの、いらいらが収まり、ものごとに取り組む意欲が高まるーーそんな傾向が、野外活動に参加した子どもたちのアンケートから浮き上がってきました。当然だろうと思われる結果ですが、数字で具体的に示されたことで、改めて野外体験の大切さが確認できました。

変化が大きかった5つの設問全体での傾向。事前事後で4割以上の参加者に改善が見られました

 エコプラスでは、2020年8月から21年3月にかけて、新潟県南魚沼市で計7回にわたって日帰りのデイキャンプを開催しました。その参加者の小学生たちに事前事後のアンケート調査を実施しました。

 この結果、「むしゃくしゃしてすぐかっとなる」「やろうと思ってもなかなか手につかない」などの項目では、半数以上の子どもたちが、デイキャンプの後では改善したと回答していました。
 7回のデイキャンプすべてで、この改善傾向が見られました。

 新型コロナウィルスの影響もあって閉じこもりがちになっている子どもたちの心が、野外での体験活動を通じて開放されていることが示されたようです。エコプラスの高野孝子代表理事は、「わずか半日の活動でここまではっきりとした傾向が出た。自然体験の価値が示されたと思う。これからの継続的な活動が必要になるのではないか」と話しています。

 アンケートでは、参加したのべ72人のうち71人から回答を得ました。14の設問の中で、大きな変化が見られた5つの設問について事前事後の回答(4段階評価)を比較しました。

  • 「いろいろなことにやる気がある」という質問では、半数近い34人が事後の方が高い評価でした。この設問では女子の改善割合が55%と高くなっていました。
  • 「わけもなく悲しくて何もしたくない」という質問では、27人に改善が見られました。
  • 「むしゃくしゃしてすぐかっとなる」という質問では、39人が改善傾向。とりわけ男子では61%に改善が見られました。
  • 「心配でイライラして落ち着かない」では、20人が改善傾向。
  • 「やろうと思っても、なかなか手につかない」では、37人に改善が見られました。
  • 5つの設問全体で集計すると、42%が改善、53%が変化なし、5%が悪化していました。
  • 男女別では、女子は、「いろいろなことにやる気がある」といった前向きな気持ちが高まり、男子は、「むしゃくしゃしてすぐかっとする」「やろうと思っても、なかなか手につかない」と言ったネガティブな気持ちの改善が大きく見られたことが注目されます。

 このデイキャンプは、2020年度の文部科学省「子供たちの心身の健全な発達のための子供の自然体験活動推進事業」の一環として、実施しました。