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第7回環境リーダー養成講座開催

豊富なデータをもとにエネルギー問題を解説する大前理事
豊富なデータをもとにエネルギー問題を解説する大前理事

環境リーダー養成講座第7回「温暖化・エネルギーと暮らし」が行われました。エコプラスの大前純一理事が、地球温暖化とエネルギーの関係やエネルギーと私たちの暮らしのつながりを講義しました。

 

残すところ2回となった第7回目の講座。南極観測に同行した経験があり、温暖化問題に詳しい大前純一エコプラス理事が、様々なデータをもとにエネルギー問題を詳しく、分かりやすく解説しました。

大前理事は、まず温暖化の深刻さに触れ、2035年には2℃、2100年には5℃気温が上昇すると予測されていることを説明。大気中のCO2量が産業革命以降に急激に増えて、今、地球の植物が吸収できる5倍もの量を人間が排出している現状を指摘し、CO2のほとんどは石油などの化石燃料の消費から発生していることを解説しました。

質問する受講生。温室効果ガスの成分など突っ込んだやりとりが行われた。
質問する受講生。温室効果ガスの成分など突っ込んだやりとりが行われた。

日本が排出しているCO2、12億トンをいかに減らすかという問題に、「低炭素社会」「1%を温暖化防止に」という世界的な提言を紹介した上で、家庭でできることとして「待機電力の削減」や「冷暖房の温度を上げる」「エコ製品に買い替える」などの取り組みに効果があることを説明。一方で、その規模では目標の1%にも満たず、炭素税の導入といった構造的な対策や大きな枠組みで考えることが必要と説明しました。

最後に、こうした現状を私たちのライフスタイルや価値観を変える「日本のチャンス」ととらえて、「消費継続社会からの離脱」「自分の命を自分で支える」自給の試みを提言しました。

「エネルギー問題は、温暖化に直結している」(大前)だけに、受講生の関心は高く、講義後も、様々な具体的な質問や意見が出されました。

「いますぐ、1%を、温暖化防止のために」

429-lスターンレビューから読み解く地球温暖化・パネル展「地球温暖化のいま」を開催中

NPO法人エコプラスは、東京都港区環境課の事業の一環として、パネル展「地球温暖化のいま」を2007年1月16日から同区立エコプラザで開催しています。

最新の温暖化報告書として世界的に注目を集めている英国のスターンレビューをもとに、地球温暖化問題を考えるパネル展です。

430-l 世界銀行の副総裁もつとめたエコノミスト、ニコラス・スターン博士は「温暖化防止にいま取り組まねば、人類は過去例をみない規模の損害を受ける」として、すべての1%の費用を温暖化防止にあてるよう提案しています。

スターンレビューによれば、現在CO2換算で380ppmとされる温暖化ガス濃度は、さらに上昇を続け、このままの暮らしぶりを続けると濃度は20年後に550ppmに、今世紀末には750ppmに達し、世界の気温は5度上昇。大規模な気候変動や、東京やニューヨークを水没させる海面上昇などを引き起し、その被害総額は、2回の世界大戦の被害額を超えた史上最悪のものとなろうという経済学的な予測をしています。

一方で、直ちに温暖化ガス対策を真剣に取れば、気温上昇は2度で押さえられ、温暖化ガス濃度は550ppm程度で安定するとして、今行動が必要であることを力説しています。

このスターンレビューは、G8サミットなどを通じて世界各国に大きな影響を与えると思われます。日本や港区に則した温暖化理解を促進するパネルに再構成して、この最新の報告書を区民にいち早く提供します。
◇開催期間
2007年1月16日(火)から2月下旬まで
◇主催
港区環境課
◇企画運営
NPO法人エコプラス
◇場所
港区エコプラザ
http://www.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=12&aid=350
◇イベント内容
スターンレビューを基礎に、温暖化に関する図表、グラフ、写真を組み合わせ展示します。
(1)温暖化の実態
温暖化ガスの排出源/今後の温暖化ガス濃度予想と気温上昇の可能性/気温上昇の影響
(食料、水、生態系、洪水、熱帯病)/気候変動への予測(エルニーニョ、洪水、海面上昇)
(2)温暖化の経済的影響
貧困層に深刻で長期的な影響/中高緯度の先進国にも影響/経済への影響は甚大
(3)対応策
CO2排出量を50億トンまで削減(現在400億トン)/無理なく減らすために即時削減開始
(実行方法/ガス排出の多いものを使わない・効率を高める・森林伐採などの回避・電力や暖房、
移動手段をクリーンなものに移行)

◇問い合わせ
港区立エコプラザ
〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-6-9
TEL: 03-3431-6057
FAX:03-5404-7765

◇参考資料
スターン博士の日本での講演内容
http://www.ecoplus.jp/showart.php?lang=ja&genre=8&aid=373

スターンレビューのシンポジウム

あと何度気温が上がると、何が起きるか。地球の気温が5度上がると水、食料、生態系のどれもが深刻な影響を受ける、と博士はいいます
あと何度気温が上がると、何が起きるか。地球の気温が5度上がると水、食料、生態系のどれもが深刻な影響を受ける、と博士はいいます

「今行動しないと、地球温暖化で大変な打撃を受ける」・・・英国の気候変動に関する最新の報告書「スターンレビュー」の筆者ニコラス・スターン博士の講演は恐ろしく、インパクトがありました。
(2006年11月28日、東京・国連大学で開かれた「The Economics of Climate Change」の講演要旨)

グラハム・フライ駐日英国大使

もう、気候変動そのものについての大きな議論はなくなってきた。これからはその気候変動と経済の関係だ。3つの課題が出てくると思う。1つ目は、このままの暮らしを続けるとどういうコストをいずれ払わなければならなくなるかということ。2つ目は、安

温暖化ガスの濃度をCO2換算で550ppmに押さえられても、気温は3度上昇する可能性があるといいます
温暖化ガスの濃度をCO2換算で550ppmに押さえられても、気温は3度上昇する可能性があるといいます

定化のためのコスト。そして3つ目が最も効果的な手法はなんなのかということになると思う。私が博士の時間を取るわけにはいかないので、これまでにしたいと思う。このスターンレビューという報告書は、全部で600ページにも上る膨大な内容だ。博士がこの発表の後に最初に訪れたのが日本であることを付け加えておきたい。

ニコラス・スターン博士
私は、英国財務大臣のゴードン・ブラウンからグレンイーグルサミットの後に、調査をまとめるように要請を受けた。そのサミットではアフリカ救済が大きな課題となったが同時に気候変動の理解を進めるための、特に経済面から見た温暖化を調べるように要請を受け、この報告書をまとめた。

最初に、気候変動に関する経済というものについて、考え方を整理しておきたい。
気候変動というのは、いろんな形を見せる。
1)それは地球全体で起きる。
2)温暖化ガスは毎年どんどん積み重なっていく。毎年の積み上げというものは直接には目に見えないが着実に長期的に重なっていく。
3)それは、とても不確かで、いろんな出来事が起きるとしても、確実にあることが起きるということではない。
4)最後に、それはとても深刻で大きなことで、しかも後戻りが出来ない。一旦排出された温暖化ガスは何百年にも渡って残る。

それに不公平ということがついて回る。ほとんど、73%の温暖化ガスは豊かな国から排出されているのに、貧しい国から真っ先に深刻な被害を受ける。しかしこの地球の上では被害から逃れることができる国はない。途上国である中国やインドのようにまた大きなガスを出すようになる国もある。

まずどういう影響がでるか。
すでに産業革命から、地球の温度は0.7度あがっている。我々がいろんな対応をとってももう1度以上はあがるだろう。何もしない場合、今世紀後半は、大気中の二酸化酸素濃度に換算した温暖化ガスは800ppmになるだろう。今は430ppm。280ppmが19世紀中旬の状態だった。2.5ppmずつ私たちは毎年毎年増やしている。2、30年の間ずっとこのままいくと100ppm増える。430ppmから550ppmに増えるわけだ。今世紀末には850ppmになる。その場合は80%の確率で世界の平均気温は5度以上あがる。100年の間に5度という変化は、12,000年前の氷河期との今との差になる。その場合、どこに私たちが住めばいいのか。まず水から影響を受けることになるだろう。干ばつ、嵐、エコシステムも大被害を受ける。2、3度の上昇でも大きな影響を受ける。これが温暖化の問題なのだ。

では450ppmで押さえられた場合はどうだろう。2度は上昇する。EUでは地球温暖化を2度で押さえようとしている。550ppmでも3度あがる。2度でも危険がある。報告書で550ppmが上限と考えている。450ppmには10年のうちに到達してしまう。なのでこれを目標にはできない。現実的には550ppmを上限にするのがいいと思う。それでもだめだという人は少なくないだろう。

温暖化によって水不足が起き、デング熱やマラリアが高緯度に拡大し、環境難民が発生し、紛争化するだろう。
ロンドンでもテムズ川の水位があがるだろう。冬の雨が多くなり、地下鉄は被害を受け、嵐も多発する。日本もでも台風が増え、水害が起き、海面上昇で人々は困ることになる。フロリダもカリフォルニアも、豊かな国の大都会も深刻な問題に直面するだろう。

この温暖化の経済リスクを計算してみよう。
このままいくと経済へのコストはどういうことになるか。
マーケットやGDPで見ると、最低でも5%でも。幅広く考えれば14%。さらにこの波及効果を考えると20%以上になると思われる。5-20%の影響があるといえる。

後からやるのはコストがかかる。
いまのままほったらかしにした場合、あと30年もしてしまうともはや気候を安定化できなくなる状態に陥るだろう。もし550ppmを目標にした場合、2020年に温暖化ガスの排出をマイナスに転じることができれば、達成することができるだろう。2010年にマイナスに転じることができれば450ppmに押さえ込むことができる。その場合でもあと30年ほどに渡って、毎年10億トンのCO2を減らさなくてはならない。

しかし、その経済的なコストは1%にすぎない。
いま1%値上げして、それでクリーンなものにすればいい。それによって温暖化を止めることができる。これは成長を止めることではない。成長もしながら環境を守ることができる。グリーンな環境を維持しながら、成長ができるのだ。新製品、新技術をいれればいい。

いま始めることが必要。そのために
1)長期的なゴールを設定すべきだ。
2)柔軟にやることが必要だ。場所や国などによって、今年は2%、今年はゼロ%という削減目標をいろいろに設定することだ。やりやすい業界はどんどんやるという風に。国ごとに違っても良い。
3)予見性があるものにしなければならない。

どうするか
税金でも、排出権取引でも、規制でも、温暖化ガスを経済の仕組みに金額として組み入れなければならない。
テクノロジーへの支援が必要。
人々に理解してもらうことも不可欠だ。

技術は安くなってきた
太陽光や風力などの新しいエネルギー開発のための投資を倍増しないといけない。毎年100億ドルを増やすべきだ。技術はすでに50%以上も安くなってきている。

世界協調は不可欠だ。
日本は3%、UKは2%のガスを出している。地球の上のみんなが関係する。
各国は、
*長期的視野を持つ。
*先進国と貧しい国の間の協力を作り上げる。日中協力も必要。先進国は多くの教訓を得ている。後進国は一部は先進国の多大の排出のおかげで被害を受けると怒っている。中国やインドはどんどん発展している。
*カーボントレードも必要。すでにいろいろやっている。
*カリフォルニア州も大きな目標を設定した。中国も森を作り直している。多くの国がやっている。それをどう相互理解の上で展開するのが大事だ。

国際技術協力が必要
技術共有と開発のRDの共同実施が欠かせない。

森林破壊を防ぐ
重工業が多くのエネルギーを使っている。電気業界が大きく関係している。森林業界がもう一つ大事。ブラジル、パプアニューギニア、インドネシアなど。その国々をどう支えるか。外部からいうのではなく、そこを知る人たちがやるべきで、それを支えるべき。日本もいろいろ知恵がある。

これからどうすればいいのか。
気温は上昇する。うまくいけば2度未満で押さえられる。しかしがんばらないといけない。ロンドンの堤防のかさ上げや下水路の再構築を考えないと行けない状況に我々は直面している。2010年から2012年にかけてのODAをこの枠組みでやらないといけない。新しい技術、作物、基盤が必要。
結論
温暖化ガスを450ppmにしないといけない。550ppmでも大変危険。それを最低限で450から550を目標にしないといけない。
それは現実的に受け入れられる世界でもある。「green and grow(環境を守り、成長する)」は可能。長期的な問題であるがいまやらないといけない。ほっておいて550ppmにすると大変なことになる。いますべきだ。でないととてつもないコストもかかる。

太陽エネルギーと遊ぼう!

校庭にソーラーグッズを展示。大きな四角いものは太陽光発電パネル、一番左はソーラークッカーです。みんなが覗き込んでいるのは、太陽光で動くいろいろなソーラーグッズ。
校庭にソーラーグッズを展示。大きな四角いものは太陽光発電パネル、一番左はソーラークッカーです。みんなが覗き込んでいるのは、太陽光で動くいろいろなソーラーグッズ。

8月26日、エコプラザで現在開催中のパネル展示に関連した「太陽エネルギーと遊ぼう!」イベントを行いました。

8月10日から、エコプラザの展示室にて、地球温暖化とエネルギーに関するパネル展示を行っています。26日(土)には、「太陽光発電所ネットワーク(PV-Net)」の東京地域の5名の方たちの協力を得て、太陽光と遊ぶ1日イベントを行いました。

太陽光イベントで一番気になるのは天気です。この日はあいにくの曇り空となってしまったのですが、かすかに届く太陽エネルギーを感じながら、小学生や大学生、環境リーダー講座の参加者など、12人がいろいろな体験をしてくれました。

★地球温暖化体験ゲーム
どうして二酸化炭素が増えて温暖化が進んでしまうのか、人間にできることはなんなのか、ゲームをしながら考えてみました。二酸化炭素役の人と、つかまらないように地球にタッチする太陽光役の人と、鬼ごっこのような動きで白熱したゲームになりました。

簡単に作れるパネル型ソーラークッカーを作成中
簡単に作れるパネル型ソーラークッカーを作成中

★ソーラークッキング
準備をしていたソーラークッキングは、残念ながら天気が悪くてできませんでした。それでも、パラボラ型ソーラークッカーでは10度ほどお湯を温めることができました。
ガスレンジのカバーで簡単に作れる、パネル式ソーラークッカー作りには小学生が挑戦しました。

★太陽光発電でドン!
愛知万博にも出展して大好評だったという、太陽エネルギーと自分の力を競争する機械も登場しました。力いっぱい発電機のレバーをまわすと、自分がどれくらい発電できたのかがわかります。ほんの20秒まわし続けただけででみんなぐったり。やっぱり発電するのは自力よりも太陽エネルギーにお願いしたほうがいいようです。

ゲームなどで楽しみながら、太陽エネルギーが少し身近に感じられる機会になったのではと思います。今回できなかったソーラークッキングはまた機会を作って挑戦してみたいと思います。

参考:
太陽光発電所ネットワーク(PV-Net)
http://www.greenenergy.jp/
自宅で太陽光発電をしている発電所長たちのネットワーク団体です。